○青木 慎一郎 (岩手県立大学)、小野 淳平 (青森大学ソフトウェア情報学部)、小方 孝、一尾 操 (大和大学情報学部)
「支援のための対話」とはASD特性者や定型発達者が生成AIとの間で行う対話である。対話とは、それに参加する者にとっては、広義の物語の生成であり、その作り方、つまりジュネットの物語行為(語り:narration、誰かが何事かを語ること)を検討する必要がある。その物語行為がASD特性では情報が多いのでストーリーを作るには時間を要する。しかも、早急に結論に至るストーリーを志向・選好するという点に特徴がある。それが、定型発達者との違いである。そのため、常にというわけではないが、対話の行き違い生じることがある。このような対話の行き違いに対して、ASD特性者と定型発達者との対話を支援するために生成AIを活用することは、これまでも行われてきた。しかし、生成AIによって対話を支援するという場合には、ASD特性者の「失敗」や「できない」に注目することになる。これに対して、本論では支援のために継続する「生成AIとの対話」について検討した。「会話」が社交や単なる情報交換が目的であるのに対して、「対話」は新たな理解や気づきを目指すものとして区別すると、ASD特性の会話の行き違いは、いわば「会話」を求められている場面で「対話」をしようとしたことによるものであった。本論では、すでに発表した生成AIを支援に活用する提案(小野他,2025)の、その後の展開として、生成AIによる「対話の支援」と「支援のための生成AIとの対話」との違いという観点から述べる。