【講演概要】

規範と逸脱の概念に基づく物語言説システムの動作分析
―大局的生成空間の飽和に関する実験的検討を中心として―

〇秋元 泰介 (電気通信大学)、
小方 孝 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)



本稿では、秋元・小方(2013a)において提案した物語言説システム1の動作分析を行う。 このシステムは、物語内容から言説への構造変換を行う「語り手」機構と、 その受容・評価を行う「 聴き手 」機構の反復的な相互作用を通じて、 一つ物語内容から多様な言説系列の多様性を生み出す基本的な原理は、 物語言説生成の基準を聴き手が持つ「期待」というパラメータに位置付け、 語り手によるそれへの順応逸脱を通じて、 期待が通時的に変化して行くことである。 このシステムにおける物語言説系列生成過程を確認するため、 物語言説系列を「規範と逸脱」 という概念に基づく諸側面から詳細に分析する枠組みを提示する。