【講演概要】

物語生成システムにおける物語と音楽の相互変換 −第三版システムの開発と考察−

○秋元 泰介、小方 孝 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)



本研究では,これまでの物語‐音楽相互変換システムを拡張し新たな枠組みの物語‐ 音楽相互変換システムの試作を開発することを第一の目的としている. システムの一番の目標とするのは従来のシステムと同様に物語と音楽の相互変換による循環によって両者を豊かにしていくことである. 従来のシステムからの変更点は次のようになる. まず新たに物語と音楽それぞれの構造として階層構造を導入し, 階層構造を媒介とした相互変換を行う.階層構造を導入することにより, 物語と音楽をマクロなレベルからミクロなレベルまで自然な形で対応付けることが出来る. また,物語と音楽それぞれの独立した階層構造を対応付けることにより, これまで物語を出発点とした循環しか出来なかった枠組みを, 物語と音楽のどちらを出発点としてもよい枠組みへと拡張する. それから,従来のシステムでは物語からの音楽生成が実質的には, 音楽のパーツを構成することによって行っていたが, 本システムでは物語の構造を基にゼロから音楽を自動作曲する. その他,音楽変奏機構等もこれまでのものを拡張し,新たに実装した. また,システムの開発を通して物語と音楽の関係についての考察を行っていくことも本研究の大きな目的となっている.