日本認知科学会
「文学と認知・コンピュータ」研究分科会

   「第10回定例研究会 in 東京'01春」開催のお知らせ(その2)

                                         東京工業大学 赤間啓之
                                         玉川大学   岩垣守彦
                                         東京工業大学 往住彰文
                                         東京工業大学・湘南国際
   女子短期大学 良峯徳和

         2000年冬のシンポジウムは神田パンセにて盛況のうちに終わり
ました。そして、新世紀の幕開け、第10回定例研究会in東京'01春が、
いよいよ3月3(土)〜4日(日)に行われる運びとなります。
         文学は、言葉についての言葉を誘発する、言葉の無目的な戯れ
です。文学には文学感性がつきものですが、感性を表す言葉といえど、
それが取り憑くはずのサンプル(指向対象)に対して、固定的な次元に
わかりやすく鎮座することはできません。感性を表すとりあえずの言葉
は、それ自体がしばしば不透明な対象と化し、あらたなメタ感性を創出
する複数のモードの中で、はたして商品として成立しうるか、決定的な
試練にかけられます(失敗すれば個人的なフェティッシュとなって、堂
々巡りするだけです)。しかも、批評という営為において、その堂々巡
りは、しばしばメタ感性の創出サイクルと誤解され、何ものにも収束し
ない、退行的で、それ以上に抑圧的な無為を作り出してしまうのです。
         その悪弊と戦うための方略として、作品を厳密なひとつの確率
論的プロセスでとらえる立場が考えられるでしょう。作品という現実が
取り替えの効かぬ形で成立した--この事実を支える関数のパラメーター
を抽出すること、と言い換えてもよいかもしれません。亡霊のようにつ
きまとう素朴な実証的自然主義ではなく、複雑で表象不可能な現実を
(実科学よりも厳しく)モデル化する「シミュレーション」の手として、
あえて文学という存在は考えられはしないか。たとえばゾラの『実験小
説論』がもつ先鋭な意味をほんとうに実現するには現在のコンピュータ
の処理能力が必要だ、ということを今こそ文学に関わる人間は理解すべ
きなのです。
         文学と認知・コンピュータは、今年、文学に従来の記号学だと
誤解されない、新たなモデル論を提案する方向で、活動を開始したいと
思います。そのモデル論が、「計算機による作品創出」という、われわ
れの本来の目標へ回帰させる、重要な契機とするために、今回、「分析
から実作へ」というテーマでワークショップを開催します。
         たとえば具体的にロラン・バルトの『S/Z』(バルザックの小
説「サラジーヌ」の記号論的な分析)を例に取り上げてみても、そこに
は、文学を自動創出するプログラムへの第一歩として、人工知能の枠に
収まり切らぬ作家機械への可能性が胚胎していると考えられます。「分
析から実作へ」というワークショップでは、参加希望の皆さんに、従来
の記号論的分析を創造的なモデル論へと止揚しつつ、「皆さんは認知科
学の知見や計算機シミュレーションを介して、どんな文学作品を、どの
ような形で、さらには誰のために創造したいのか」を、(2000年冬のシ
ンポジウムでも出た言葉ですが)「作家」として語っていただきたいと
思います。文学の科学がどのように作家活動へ還元されるか素朴な問い
かけだけでもかまいません。文学機械による作品の自動創出のビジョン
のみならず、作家という存在の社会的・制度的な文脈まで射程に入れて
考えたいと思います。できるだけ多くの方の参加を促したいと思います。

   実行委員
   東京工業大学 赤間啓之
   玉川大学   岩垣守彦
 東京工業大学 往住彰文
 東京工業大学・湘南国際女子短期大学 良峯徳和
 

   ********************

   1 日時・会場とプログラム

   (1) 日時と会場
   日時:2001年3月3(土)〜4(日)日
   会場:株式会社 東京増進会 恵比寿教室(5階大教室)東京都渋谷
区恵比寿西1−26ー15
         電話03−3710−2114

   (2) プログラム

   2  研究発表セッションおよびワークショップについて

   (1)研究発表セッション
    発表時間は30〜40分(予定)ですが、質疑応答時間を10分
   程度として発表して下さい。ただし、発表者の希望により質疑応答時
間を多くと
   っていただいても結構です。
 (2)ワークショップ
 「分析から実作へ」というテーマで、一人20分程度語ってもらいます。
参加希望者を募る他に、実行委員の 方から直接指名することもありえ
ます。文学の科学がどのように作家活動へ還元されるか素朴な問いかけ
だ けでもかまいません。できるだけ多くの方の参加を促したいと思い
ます。

 3 原稿スケジュール

       当日発表予稿集
  発表原稿(A4用紙1枚以上、枚数6枚以内)の〆切は2月28日で
す。
  原稿は、メールによるファイル添付(WORD、一太郎、Power Pointは
可)
  もしくは郵送にてお願いします(いずれも文末の署名欄参照)。
  期日に遅れた方は、原稿のコピーを持参願います。
         部数については、50部ほどご用意下さい。
  なお,ページ番号の振り方については、プログラムが確定した段階
でご連絡いたします。

 4 参加及び発表申し込み

       本定例研究会に参加を希望される方は、以下のフォーマットに
必要事項を記入して、下記メールアドレス宛にご返送ください。
         当日飛び込みでの参加も歓迎しますが、可能な限り事前のご連
絡をお願いいたします。
         詳しくは後日、ご連絡いたします。

------ CUT HERE and send it to akama@dp.hum.titech.ac.jp -----
  氏名
  所属
  E-mail:
  連絡先
           住所:(〒       -        )
           Tel.:
           Fax.:
  研究会に参加しますか?
           参加する ○ ×
         研究発表セッションで発表しますか?
          発表する ○ ×
           題目:
    ワークショップで発表しますか?
     発表する ○ ×
           題目:
   著者(著者順で):

------ CUT HERE -----

   5 参加費用


         懇親会につきましては、場所はまだ決定しておりませんが、予
算としては
   5000円程度を考えています。