第48回 人工知能学会(2005.4.19)脳科学と人工知能


主催: (社)人工知能学会
日時: 2005年4月19日(火) 10:00-16:30
会場: 慶應義塾大学・日吉キャンパス
照会先: account@ai-gakkai.or.jp
定員: 72名定員に達しましたので、参加申込みを締め切りました
参加費: 会員 7,500円(賛助会員の社員の方も含みます)
非会員 11,500円,学生会員 2,000円,学生非会員 3,000円

概要

 脳科学の研究目的の一つは脳の働きを知り,心と脳の関係を解き明かすことであ り,人工知能の研究目的とも合致します.しかしながら,研究手法においては大き な違いがあります.人工知能ではコンピュータ上で知的な処理を実行するための手 法の開発が主であるのに対し,脳科学では実際の脳や神経系を対象に計測技術や数 理モデルを駆使して脳の働きの原理を解明しようとしています.特に最近の計測技 術の進歩により,記憶や認知と脳の活動の関係に関する多くの知見が得られつつあ ります.また,脳科学において得られた知見をロボットの制御などに応用しようと いう研究も進展しつつあります.
 本セミナーでは,「脳科学と人工知能」と題して,脳科学における最先端の研究 成果,および,脳科学と人工知能,認知科学,ロボットにまたがる融合分野におけ る研究の現状について,脳科学および関連分野で活躍されている講師の方々から, ご講演いただきます.
 本セミナーが,脳科学分野と人工知能分野の積極的な交流につながり,「知能の 解明」という共通の目標に対する研究の進展に貢献できれば幸いです.多数の皆様 のご聴講と参加をお待ちしています.
※ プログラム

プログラム


10:00-11:00 脳に学ぶことを通じて非自明な情報処理機構を創造する

岡本洋氏(富士ゼロックス(株)研究本部中央研究所)

概要: 脳科学に強く期待されてきたことの一つが,新規かつ工学的に有用な情報処理機構 を脳に学ぶことを通じて生み出すことであった.しかしながら,「脳を創る」とい う標語の下で行われてきたこれまでの試みを鑑みるに,非自明な情報処理機構を創 造するという目的に対して,脳に学ぶという方法論が果たして有効であるかどうか, 意見が分かれるところであろう.本講演では,認知課題実行中のサルの大脳皮質等 で観測されるgraded persistent activityの知見に基づいて我々が考案した「ネッ トワーク型データ構造(WWW,論文引用関係,人脈,・・・)から状況依存的に情報を 抽出する方法」を紹介することを通じて,脳に学ぶことが非自明な情報処理機構の 創造に正に有効であることを示したい.


11:00-11:10 休憩


11:00-12:00 身体性人工知能 -イメージに基づく自律的意味理解-

月本洋教授(東京電機大学 工学部)

概要: 記号主義やコネクショニズム等による意味の理解には限界がある.この限界を超え るために,身体性人工知能(Embodied AI)が研究されている.この身体性人工知能 は,意味の理解にイメージが本質的な役割を果たしていることと,最近の脳科学の 非侵襲計測で明らかになった「想像が仮想的身体運動である」ということに基づい ている.本講演では,身体性人工知能および身体運動意味論・身体性構造について 解説する.


12:10-13:20 昼食休憩


13:20-14:20 内省的過程と直感過程に基づく身体化による認知

乾敏郎教授(京都大学大学院情報学研究科)

概要: 本講演では,内省過程と直感過程がどのように協調しあって高次の身体化による認 知が作り上げられているかをfMRI実験の結果とそのモデルを通じて考察する.


14:20-15:20 認知力学系で考えるロボットの学習行動

谷淳氏(理化学研究所 脳科学総合研究センター)

概要: 人間の認知過程ではあたかも記号があって操作されているような構図を思い浮かべ るが,その実態は何であろうか?記号は長さ,重さ,力といったいっさいのメトリ クスを持たない恣意的なトークンの集まりであるが,そのような記号はどのように して対象となる物理世界と相互作用しうるのだろうか?筆者は従来の記号があって それを物理世界に接合するという従来のSymbol Groundingの考え方を排し,力学系 に基ずく新たな認知のメカニズムをロボットの学習実験を通し提案する.


15:20-15:30 休憩


15:30-16:30 最適制御のための意思決定機構

石井信教授(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)

概要: 試行錯誤に基づく自律的学習法である強化学習が,機械学習法として,また,動物 の学習モデルとしても注目されている.本発表では,強化学習の工学応用について 概観した後で,環境に見えない変数がある状況でそれを推定しながら最適制御を行 う方法について述べる.コミュニケーションのモデルであるマルチエージェントゲ ームへの応用,および脳の意思決定過程に関する研究について紹介する.


第48回人工知能セミナー 参加申し込み受付終了

定員に達しましたので、参加申込みを締め切りました

人工知能セミナー参加費
正会員・賛助会員 学生会員 学生非会員 非会員
7,500円 2,000円 3,000円 11,500円