第46回 人工知能学会(2004.1.30) 複雑系と経済分析 -経済現象への新しいアプローチを探る-


主催: (社)人工知能学会
日時: 2004年1月30日(金) 10:00-16:15
会場: 早稲田国際会議場
照会先: account@ai-gakkai.or.jp
定員: 80名定員に達しましたので、参加申込みを締め切りました
協賛予定学会: 経営情報学会,(社)計測自動制御学会,言語処理学会,
社会・経済システム学会,(社)情報処理学会,
進化経済学会, (社)電子情報通信学会,
日本応用数理学会事務局,
(社)日本オペレーションズ・リサーチ学会,
(社)日本音響学会, 日本機能言語学会,
日本金融・証券計量・工学学会,
日本知能情報ファジィ学会,日本認知科学会,
日本認知心理学会, 日本ファイナンス学会,
(社)日本ロボット学会,
ヒューマンインターフェース学会
参加費: 会員 7,500円(協賛学会員,助賛会員の社員の方も含みます.),
非会員 9,500円,学生会員 2,000円,学生非会員 3,000円

概要

 近年,複雑な現象のメカニズム解明に対する研究が盛んに行われています.気象,環境,経済から脳や生命など,様々な分野において,その研究対象は枚挙に暇がありません.これら研究は,複雑系に潜む共通のメカニズム解明をめざすものや各分野に特有の現象をモデル化するもの,または従来,工学的アプローチが適用されなかった分野への情報処理的アプローチの導入など内容も様々です.
 この中で経済分野においても,従来から金融工学など工学的アプローチが研究され多くの成果が生まれてきました.しかし経済現象は,膨大かつ多様な社会組織や人間心理が絡み合う複雑な現象であり,市場に一定の仮定をおく従来のアプローチでは説明できない現象も指摘されています.これに対し近年,人工知能や物理学,心理学,生物学など異分野技術を融合させ,複雑系としての経済現象を改めて捉えなおそうという動きが出てきています.本セミナーではこれら新しい研究アプローチとして,複雑系経済学,経済物理学,人工市場,行動ファイナンス,産業応用の各分野を取り上げ,第一線で活躍されている先生方に講演をお願いしました.各研究について全体を概観できる共に,異分野間の接点や技術交流の可能性,さらには経済実務,産業分野への応用など,広い観点での議論のきっかけとなれば幸いです.工学分野のみならず,経済,金融などを背景とされる多数の皆様のご聴講をお待ちしています.

プログラム


10:00~11:00「複雑系としての経済分析アプローチ-複雑系経済学の視点-」

塩沢由典(大阪市立大学 経済学部)

概要:従来の経済学では,全ての情報が瞬時に合理的に処理されるという効率的市場仮説を前提とする.しかし実際にはその仮説上で説明できない経済現象が存在する.複雑系経済学では経済活動を,個人と市場間の相互決定的な関係(ミクロ・マクロループ)として捉え,実現象を説明する新しい経済学を確立する試みである.それは,人工市場や経済物理など他のアプローチが寄って立つパラダイムを提供するともいえる.ここではその考え方と最新動向について解説する.


11:00~12:00「物理学と経済学の融合,物理理論による経済現象のモデル化-経済物理の可能性-」

高安秀樹(ソニーコンピュータサイエンス研究所)

概要:従来の金融工学または金融経済学では,市場は常に効率的で一定の均衡価格が存在し,価格変動は単なるノイズとして正規分布に従うと仮定される.しかし,実際の市場価格の変動を観測すると,正規分布から外れた尖度の大きな分布を持つ.その価格変動には相転移の臨界点近傍で観測される臨界ゆらぎ特有の性質が確認できる.経済物理では,このような物理現象とのアナロジーに着目し,価格変動を力学方程式でモデル化し,バブルなどの経済現象の説明を試みる.ここではその概要と最新動向を解説する.


12:00~13:15 昼食休憩


13:15~14:15「エージェントシミュレーション技術による人工市場構築-人工知能からのアプローチ-」

和泉 潔(産業技術総合研究所 サイバーアシスト研究センター)

概要: 人工市場とは,計算機上に人の手によって人工的につくりだされた架空の市場である.複数の取引きエージェントをコンピュータ中の市場で取引きさせ,ミクロなレベルのエージェントから相互作用によってマクロなレベルの現象が現れる様子を観察する.各取引きエージェントは,リスク選好度やファンダメンタルズ,トレンドなどのファクターを反映した取引き戦略を持ち,市場との相互作用によってその戦略を学習し変化させる.このような人工市場技術を為替変動に適用し,バブルの解明や為替政策の意思決定支援などへの応用を考察する.


15:15~16:15「流体力学と人工市場技術を適用したマーケット分析ツール開発-産業応用の立場から-」

尹煕 元(株式会社 CMDリサーチ)

概要: 人工市場技術と,独自に開発した流体力学を応用した市場予測技術を組み合わせて,投資家の銘柄売買のコスト・リスクマネージメントツールを開発し製品化.株式市場における株価の価格形成メカニズムをモデル化して仮想市場(マーケット・シミュレーター)を作成し,売買シミュレーションによって執行にかかる「自己インパクト」,「執行ベンチマーク」および「執行リスク」などの計測を可能とした.ここでは,産業応用の立場から,適用技術や開発経緯,実務適用への可能性について解説する.


第46回人工知能セミナー 参加申し込み受付終了

定員に達しましたので、参加申込みを締め切りました

人工知能セミナー参加費
正会員・賛助会員 学生会員 学生非会員 非会員
7,500円 2,000円 3,000円 9,500円