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学生企画


今年度の全国大会では昨年に引き続き,人工知能学会 学生PC委員による学生企画を実施いたします.

テーマ「最新の人工知能技術は,未解決問題をどう解決に導くか」

概要

今年の学生企画は 「最新の人工知能技術は,未解決問題をどう解決に導くか」という題目のもと,長い間解決が困難であるとされた,

  • シンボルグラウンディング問題
  • フレーム問題

などの問題について,第3次人工知能ブームを牽引した,ディープラーニング(深層学習)などの技術による解決可能性を改めて考え,その上で,そこからつながる新しい技術や考え方などについても触れながら議論していきたいと思います.

人工知能の研究の中で,長きにわたり議論されてきた,シンボルグラウンディング問題,フレーム問題と呼ばれる問題があります.これらの問題は,未だ確立した具体的な解決方法や道標が示されておらず,人工知能最大の難問ともいわれています.
一方で,第3次人工知能ブームを牽引したディープラーニング(深層学習)などの技術により,画像認識精度の大幅な向上や,問題や事象に対して人間が想像できないような特徴抽出ができるようになりました.このように,コンピュータができることは着実に増えています.その結果,人工知能の未解決問題も解決できるのではないかと囁かれるようになりました.
そこで本企画では,現在の人工知能技術による人工知能未解決問題の解決可能性を議論しながら,そこからつながる人工知能の新しい技術や可能性についても考えたいと思います.技術が進んだ今だからこそできる未解決問題の議論によって,人工知能史の新たなビジョンも見出すことができるかもしれません.具体的には,人工知能の未解決問題について,ディープラーニング(深層学習)などの技術に立脚したアプローチと,オントロジーに代表される記号処理的なアプローチに着目しながら,議論を行います.

形式としては,本テーマと連動した招待講演の後,ライトニングトークやグループディスカッションなど,皆様に気軽にご参加いただける形での議論を検討しております.

未解決問題(シンボルグラウンディング問題・フレーム問題)について学生委員が資料にまとめました.
人工知能未解決問題_学生委員作成資料.pdf
未解決問題の理解の参考までにご覧下さい.

招待講演

招待講師1

溝口 理一郎 先生

溝口 理一郎 先生
(北陸先端科学技術大学院大学)

昨今のAIブームの盛り上がりは凄い.AIならどんな問題も解決してくれそうという意見すら聞こえてきますが,本講演ではそんなに華々しくはないが,興味深く根源的な問題の代表格である,記号接地とフレーム問題に絡む話題について思うところをお話しします.前者は「意味」とは何かや「分かる」とは何かと言うことに深く関係します.後者は情報の不完全性,或いはRelevanceに深く関係します.共に,AIシステムを造る上での根本的な問いです.
看護師さんAIには,患者の痛みや苦しみを「分かって」いて欲しいでしょう.でも,将棋AIは大勝負の怖さを「分かる」必要は無いでしょう.あがってしまったらマイナスなので...これは,記号接地の功罪(二面性)です.フレーム問題は果たして解けるのか?人間にも解けないのに,AIなら解けるのか?この問題は言い換えると,範囲限定やコンテキスト設定問題に絡みます.
このような事を皆さんと一緒に考えてみたいと思います.

招待講師2

松尾 豊 先生

松尾 豊 先生
(東京大学)

人間の知能は、環境から知覚し、それを行動に変換することにより、環境の中での情報のループを回す認知運動系のシステムと、音韻をベースに言葉を発声し、また言葉を聞き取る記号処理系のループの2つから成るのではないか。本来は、認知運動系のシステムが、より長期のプランを立てるために記号処理系のシステムを駆動していたのだが、あるときから、記号処理系のシステムが独立し、その処理の中で認知運動系のシステムを駆動できるようになったのではないか。
こういった仮定に立てば、記号接地やフレーム問題も明確に説明でき、また解決できるのではないか。また、社会全体で知識を共有し、先達の知恵が後進に伝わるという現象も、「社会的蒸留」という考え方で説明できるのではないか。
こういった議論を、近年急速に進展をしている深層学習を手がかりにしながら進めていきたいと思います。

対象者

学部,修士,博士後期課程,若手研究者のみなさまを主な対象としています.

※ 上記の方以外にも, 熟練の研究者のみなさまのご参加も大歓迎です.

日時・場所

6月7日(木) 13:50~15:30
M会場 (2F アメジストホール鳳凰)

交流会について

別途,学生企画の交流会を行うことを考えていましたが,当日、学会全体の参加者交流会が開催されることになったため,本年度は,学生企画の交流会は開催しないことになりました.

参加申込

今年度の学生企画は,事前の参加申し込みは不要です.どうぞお気軽にご参加ください.