パネル討論「大震災と向き合う」

2011年7月をもって創立25周年を迎える本学会にとって,今回の大震災は大きな試練を与えました.このパネル討論では,東日本大震災が人工知能研究者にとってどのような意味を持ち得るのか,この大震災を前にして人工知能研究者ができることは何か,という問いを中心に討論します.

  • 日時:2011年6月1日(水) 10:55-12:30(95分)

登壇者紹介

コーディネーター:西田 豊明(人工知能学会会長)

西田 豊明

1977年京都大学工学部卒業.1979同大学院修士課程修了1993年奈良先端科学技術大学院大学教授,1999年東京大学大学院工学系研究科教授,2001年東京大学大学院情報理工学系研究科教授を経て,2004年4月京都大学大学院情報学研究科教授,現在に至る.会話情報学,原初知識モデル,社会知のデザインの研究に従事.日本学術会議連携会員(2006~),人工知能学会会長(2010~), 国立情報学研究所運営会議委員(2008~).情報処理学会フェロー.日本学術振興会学術システム研究センター主任研究員.

パネリスト:正村 俊之(東北大学)

正村 俊之

これまで日本社会や現代社会をコミュニケーション論的な視点から研究してきました.被災経験を踏まえながら社会学・社会情報学の立場から考えてみたいと思います.

1983年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学,1988年関西学院大学社会学部専任講師,1989年関西学院大学社会学部助教授,1995年東北大学文学部教授,2000年東北大学大学院文学研究科教授,現在に至る.社会学,社会情報学が専門.日本社会情報学会理事,東北社会学会理事,日本社会学会研究活動委員,東北社会学研究会会長.

パネリスト:小方 孝(岩手県立大学)

小方 孝

非日常的な現実の渦中で,制度としての言葉や素朴物語論的な言葉が力を揮っています.その陥穽に落ち込まない物語の言葉,個人的でありながら公共的な,小さくもあり大きくもある物語の言葉を創出して行くことは,どのようにして可能なのでしょうか.

1958年神奈川県川崎市生まれ.1983年早稲田大学社会科学部卒業.1990年まで民間企業でAIシステム等の開発に従事.1992年筑波大学大学院経営・政策科学研究科経営システム科学専攻修了.1995年東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻修了,博士(工学).東大先端研を経て1997年山梨大学工学部助教授,2005年岩手県立大学教授.研究テーマは人工知能・認知科学と物語論との融合による物語生成システム.特に認知科学会「文学と認知・コンピュータ研究分科会」を通じて,その体系化と文学への展開を図っている.近著『物語論の情報学序説―物語生成の思想と技術を巡って―』(金井明人と共著.学文社,2010).

パネリスト:野田 五十樹(産業技術総合研究所)

野田 五十樹

いくつかの災害関連プロジェクトに関わってきた経験から,今回の震災でもわずかながら情報の面で支援を試みてきました.その立場から,次に向けた可能な取り組みを考えていきたいと思います.

1992年 京都大学大学院工学研究科修了,通商産業省工業技術院 電子技術総合研究所に入所後,改組を経て,現在,独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターサービス設計支援技術研究チーム長.筑波大学大学院および東京工業大学大学院の連携講座教授を兼務.博士(工学).人工知能学会,RoboCup Federation,ロボカップ日本委員会,防災推進機構理事.災害シミュレーション,災害情報共有,災害救助ロボット,マルチエージェント社会シミュレーションの研究に従事.大都市大震災軽減化特別プロジェクトなどに参画.