チャレンジ選考過程

1. チャレンジャー

表1,2は,今回参加したチャレンジャーに関する情報です. ニューチャレンジ1件(表1)は1つのセッションで発表され, サバイバル・オブチャレンジ(表2)はそれぞれセッションで複数の発表が行われました.

2. アンケートおよび集計方法

それぞれの発表(or セッション)について, 表3の3種類の質問に関するアンケート用紙を配布し, 会場の参加者(チャレンジャー自身,あるいはその共著者も含む) によるアンケートが実施されました. それぞれの項目は1から5までの5段階で評価されます.
各チャレンジャーの得点は,アンケート中の3種類の質問の評価点の平均値としました. すなわち,最高得点が5,最低が0となります. 個々のアンケート結果では質問の内の1つ, ないし2つの評価が未記入である場合もありうるので,質問ごとに評価の平均(Q1,Q2,Q3)を取り, その平均((Q1+Q2+Q3)/3)をそのチャレンジャーの得点としました.
今回は,会場で参加しているPC委員の採点結果を別に取り上げ, それに起因する得点が,それ以外の平均の得点と差異があるかを確認することにしました. これは,会場の参加者のかなりの人数がチャレンジャーの関係者である場合, 評価の公正さが保てなる可能性があるためです.
そこで,PCの得点である程度の公正さを補正するために,総合の得点を以下で計算しました。

総合得点 = α(PCによる得点の平均) + (1-α)(PCを除く参加者の得点の平均)
(αは[0,1]の定数)

αは定数で,大会前に近未来チャレンジ担当間で定数の値を0.3にすると事前に決めておきました. (あまり高すぎると,会場の意見が軽視されるため).

3. 集計結果

結果として,表4の総合得点になります.得点は,RCTが首位で, 他のチャレンジャーの得点よりもかなり高い得点となっています.全体平均では、 5位と6位の差が大きくなりました。項目別評価及び、全体評価を通して、 PC委員の評価とPC委員以外の評価が概ね同じ傾向を示しており、 表4に示した順位付けに関しては妥当であるという結論に至りました。
  上記より,jsai2003プログラム委員会としては,総合得点および,全体得点の上位5位であり, 肯定的なコメントを主として受けた以下のチャレンジャーを来年の大会でのサバイバルオブチャレンジの項目と決定いたしました.  また,表5はアンケートに記載されたコメントの代表的なものをピックアップしたものです.

表1 サバイバル・オブ・チャレンジ一覧

name チャレンジ名, 提案者 (所属)
DSIU ネット情報を使った意思決定支援 藤本 和則(FRP)
  ※1999全大ニュー勝ち残り、今年4回目のサバイバル・オブ・チャレンジ
RCT 高齢者・障害者の自立的移動を支援する Robotic Communication Terminals 矢入 (江口) 郁子(通信総合研究所) 他
  ※2000全大ニュー勝ち残り、今年3回目のサバイバル・オブ・チャレンジ
危機 危機管理シミュレーションとその分析 石田 亨(京都大学)、 松原 仁(公立はこだて未来大学) 他 
  ※2001年全大ニュー勝ち残り、今年2回目のサバイバル・オブ・チャレンジ
LOS 日常言語コンピューティング 岩爪 道昭(理化学研究所) 他
  ※2001年全大ニュー勝ち残り、今年2回目のサバイバル・オブ・チャレンジ
デザイン 事例に基づくデザイン支援と評価基盤の構築 片寄 晴弘(関西学院大学, 科技団さきがけ研究21) 他
  ※2002年全大ニュー勝ち残り、今年1回目のサバイバル・オブ・チャレンジ

表2 ニュー・チャレンジ一覧

name チャレンジ名, 提案者 (所属)
3D5-01 身体知の解明を目指して 古川 康一 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
植野 研 (慶應義塾大学SFC研究所)
五十嵐 創 (慶應義塾大学SFC研究所)
森田 想平 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
尾崎 知伸 (慶應義塾大学SFC研究所)
玉川 直世 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)

表3 アンケート項目

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q1  この発表者のチャレンジは5年以内に達成できると思いますか。
  (1) 達成は当分不可能である。
  (2) 達成が当分困難である。
  (3) 5年以内の達成は困難だが、もう少し時間があれば達成できる。
   (4) 5年以内の達成の可能性は高い。
    (5) 5年以内に達成できる。
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q2  このチャレンジが成功すれば、社会に貢献すると思いますか。
    (1) 全く貢献しない。
    (2) 貢献の度合が小さい。
    (3) 従来の人工知能研究の平均程度に貢献する。
    (4) 大きく貢献する。
    (5) 非常に大きく貢献する。
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q3  このチャレンジが成功すれば、人工知能に貢献すると思いますか。
    (1) 全く貢献しない。
    (2) 貢献の度合が小さい。
    (3) 従来の人工知能研究の平均程度に貢献する。
    (4) 大きく貢献する。
    (5) 非常に大きく貢献する。
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表4 集計結果[全体補正値でソート]

  全体平均 PC平均 PC以外 全体補正
(1)RCT 4.00 4.22 3.98 4.05
(2)身体知 3.77 4.44 3.62 3.87
(3)LOS 3.91 3.33 3.93 3.75
(4)危機 3.72 3.67 3.73 3.71
(5)デザイン 3.61 3.33 3.67 3.57
(6)DSIU 3.44 3.50 3.44 3.46

(*)全体平均=回収アンケート全体の平均, PC平均=プログラム委員による  評価の平均, PC以外=プログラム委員以外による評価の平均, 全体補正=PC委員の重みを0.3としたときの評価値

表5 アンケートのコメント(一部)



[RCT]

[LOS]

[身体知]

[危機]

[デザイン]

[DSIU]