人工知能学会会長挨拶

 

【人工知能学会 設立30周年を迎えて】

人工知能学会会長  山田 誠二


 

人工知能学会は,1986年7月の設立以来,本年2016年で30周年を迎えることとなりました.30年もの永きにわたり,学会が発展することができましたのも,歴代の幹部,理事,そしてなりよりも会員のみなさまの厚いご支援の賜物であり,心より感謝いたします.

当学会設立時は人工知能がエキスパートシステムや知識工学でブームを迎えていた時期であり,当時大学院生であった私にもその熱気が懐かしく思い出されます.その後,人工知能は長い「冬の時代」に入り,その間も,日本の人工知能研究は,研究テーマを変えたり,周辺領域に鞍替えするなどして時代へ適応しながらも,脈々と続いてきました.そしてこの度,30周年を迎えるにあたり,第3次の人工知能ブームが大変な盛り上りとなっている状況を観るに,感慨深いものがあります.今回のブームは,米国を中心とした機械学習,特にディープラーニングの応用に牽引される形で起こったと考えられますが,今後はぜひとも日本発の第4次人工知能ブームを起こすことを学会としても支援すべきと考えています.また,この30年に渡り,人工知能のいくつかの分野で日本の研究開発が先端的な役割を果たしてきたと信じています.このような背景から,今後の日本発の人工知能ブームというのも,決して単なる夢物語ではないと考えています.学会関係者の皆様にも,そのような意識を少しづつ持っていただいて,これからの40周年に向けた人工知能学会の発展に寄与していただければ幸いでございます.最後になりましたが,どうかこれまで同様に人工知能学会へのご協力をよろしくお願い申し上げます.

 
 

【30周年にあたって】

人工知能学会前会長  松原 仁


 

人工知能学会は2016年に設立30周年を迎えました.これまで多くの方々に学会の活動を支えていただいたおかげと思っております.歴代の会員および関わってこられたすべての方に感謝いたします.ありがとうございます.
マッカーシーがダートマス会議で人工知能という名称を提案したのが1956年なので,今年はそれから60年が経ったことになります.一回目のブームの中で人工知能という名称が生まれ,二回目のブームの中で人工知能学会が発足し,三回目のブームの中でそれぞれ60周年と30周年を迎えることになりました.人工知能学会も人工知能の二回目の冬の時代を生き延びることができたのをうれしく思います.もっとも学会はそれ自体が存続することが目的では決してありません.人工知能についての情報を発信すること,人工知能に興味を持つ人たちの活動の場や交流の場を提供することなどが目的です.今後もこの目的が意味を持つ限り学会として頑張っていきたいと思います.引き続きこれまで同様にご協力いただけますようお願い申し上げます.