合同研究会2017:招待講演

11月24日(金)「理研AIPセンターの取り組み」

講演者:

杉山 将 氏杉山 将 氏
理化学研究所 革新知能統合研究センター
東京大学 大学院新領域創成科学研究科

講演概要:

近年,世界中の企業・大学・研究所で人工知能の研究開発が行われており,その競争はより一層激しくなりつつあります.そのような中,どのようにして基盤技術研究の国際的な競争力を高め,応用分野でその成果を社会還元し,関連分野の持続的な発展に資する人材を育成していくか,大胆な戦略を立てる必要があります.このような中,理化学研究所は2016年に革新知能統合研究センターを開設しました.そして,革新知能統合研究センター内に汎用基盤技術研究グループ,目的指向基盤技術研究グループ,社会における人工知能研究グループの3つの研究グループを設置し,数理的な基礎研究に軸足を置きつつ,様々な企業・大学・研究所・プロジェクトと連携して,次の5つの事業を推進しています.
・人工知能基盤技術:深層学習の仕組みの解明,および,新しい原理に基づく次世代知能技術の開発
・サイエンス研究の人工知能による加速:再生医療,新素材開発,ものづくりなど国際競争において日本が強い分野を人工知能技術により更に強化
・社会課題の人工知能による解決支援:医療・ヘルスケア,防災・減災,インフラ管理など日本が直面している社会課題を人工知能技術で解決
・人工知能の普及が社会に及ぼす影響の分析:データの収集と流通,人工知能が社会で受け入れられるための制度や倫理,人工知能研究の倫理を議論
・高度人工知能研究開発人材・データサイエンティストの育成:企業の技術者や大学の学生・研究員とともに最先端研究を推進するとともに,中・韓・米・英・独・仏など諸外国の大学や研究所と連携体制を構築
本講演では,このような理化学研究所・革新知能統合研究センターの取り組みを紹介します.

講演者略歴:

2001年に東京工業大学より博士(工学)の学位を取得.同大助手,助教授を経て,2014年より東京大学教授.2016年より理化学研究所革新知能統合研究センター長を併任.2003年から2004年にかけ,アレキサンダー・フォン・フンボルト財団フェローとしてドイツ・ベルリンのフラウンホーファー研究所に滞在.2006年にはヨーロッパ委員会エラスムス・ムンダス助成を受け,英国・エディンバラのエディンバラ大学に滞在.非定常環境下での機械学習の研究に対して,2007年IBM Faculty Awardを受賞.密度比推定に基づく機械学習の研究に対して,2011年情報処理学会長尾真記念特別賞および2014年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞.また,一連の機械学習研究に対して,2016年度日本学術振興会賞および日本学士院学術奨励賞を受賞.機械学習とデータマイニングの理論研究とアルゴリズムの開発,および,その信号処理,画像処理,ロボット制御などへの応用研究に従事.

11月25日(土)「富士通のAI技術 Zinrai のご紹介」

講演者:

丸山 文宏 氏丸山 文宏 氏
(株) 富士通研究所人工知能研究所

講演概要:

富士通は,30年以上にわたる人工知能に関する研究開発の蓄積に基づき,2015年11月に人工知能技術を体系化したZinraiを発表しました.2016年10月には人工知能に関する事業を展開する事業部を立ち上げ,2017年4月からは富士通のクラウドからAPIとして人工知能の機能を提供するZinrai プラットフォームサービスを開始しています.また,今後のZinraiプラットフォームサービスを実現する技術の研究開発に取り組むとともに,お客様と共同で実証実験を実施しています.特に,ディープラーニングでは,変動が激しいセンサデータなどの時系列データやグラフで表現されるデータから高精度で学習する技術,テキストや表形式のデータをLOD(Linked Open Data)化する技術,大規模グラフに対して検索・推論する技術などを開発しています.本講演では,Zinraiを概観し,富士通の人工知能への取り組みについてご紹介します.

講演者略歴:

1978年 東京大学工学部計数工学科卒業
1978年 (株) 富士通研究所入社
1981~1982年 米国スタンフォード大学客員研究員
1991年 東京大学博士(工学)取得
2001年 (株) 富士通研究所CRM研究部長
2008~2012年 (株) 欧州富士通研究所社長
2011年~ 東京工業大学大学院非常勤講師(イノベーションマネジメント研究科)
2013~2015年 人工知能学会副会長
2015~2017年 人工知能学会監事
現在 (株) 富士通研究所人工知能研究所特任研究員
東京工業大学環境・社会理工学院技術経営専門職学位課程非常勤講師(講義等委託教員)