第58回 人工知能セミナー(2009.1.29)経済物理学の最前線で


主催: (社)人工知能学会
日時: 2009年1月29日(木) 10:30-16:45
会場: キャンパスイノベーションセンター1階国際会議場
照会先: account@ai-gakkai.or.jp
定員: 80名定員に達しましたので、参加申込みを締め切りました
参加費: 会員 7,500円 (賛助会員の社員の方も含みます)
会員外 15,000円,学生会員 2,000円,学生会員外 5,000円

概要

 今回の人工知能セミナーは経済物理学の最前線で活躍されている4名の講師の方々にご講演をお願いしています.経済学の新しい解析手法としても,大規模データの解析手法としても興味ある内容となっておりますので,皆様方の参加をお願いいたします.

プログラム

10:30-10:35 開会の挨拶


10:35-11:45 序章—-大規模経済データが語る経済現象

高安 美佐子 (東工大大学院総合理工学研究科)

概要:高度情報化の波はこの十数年の間に金融や経済の世界を大きく変えました. あらゆる取引がコンピュータネットワークを介して行われるように なったため,詳細な取引の情報の足跡がたどれるようになったから です.ここでは,円ドルレートを決める外国為替市場を例にとり, 高頻度データ解析の方法,基本的なランダムウォークモデルからの ずれの定量化,そして,そこから導かれる市場のポテンシャル力に 関する最新の研究成果を報告します.この新しいモデルによって, リアルタイムで変化する金融市場の変化に追随し,リスクやチャンスを 科学的に評価することが可能となります.


12:00-13:00 昼食休憩


13:00-14:10 小売のデータ解析から得られる人間の購買行動

水野貴之(一橋大学経済研究所)

概要:近年,Edyなどの電子通貨やオンライン上の商取引の普及,店頭のPOSシステムの整備により膨大な顧客の購買履歴のデータが蓄えられている.ロイヤルカスタマーに潜む法則,ロングセラーになる商品の特徴,オンライン市場でも一物一価の法則が成り立たない理由,値崩れ発生のメカニズム,ネット店舗とリアル店舗の関係について,これらのデータから読み取れる人間の購買行動の視点から解説する.


14:10-15:20 100万社の企業データから得られる関係性の構造とその連鎖

藤原 義久(ATR CIS 応用ネットワーク科学研究室)

概要:取引または生産ネットワーク(production network)とは,企業がその上流の企業から原材料などを買い,それに付加価値を付けた製品やサービスを,その下流にある企業,最終的には消費者に売るという一連の経済活動全体を指している.これらの付加価値を次々と付していく過程全体は上流から下流におよぶ巨大な関係網を形成している.生産は労働(labor)と金融(financing)と合わせ,経済活動の最も基本的な基盤である.この講演では,実際の国内約100万社の企業とその生産ネットワークの大規模構造,金融ネットワークとの関係,またそれらの上での倒産などの連鎖について述べる.


15:20-15:30 休憩


15:30-16:40 金融危機のメカニズムと経済物理の視点からの対策

高安秀樹(ソニーコンピュータサイエンス研究所)

概要:ガラスのような脆性物質は,外力が弱いときには弾性体として振舞うが,外力がある程度以上大きくなると,歪が局在化し,破壊が発生し,さらに,伝播する性質を持つ.実は,市場原理で決まる金利に基づく融資をしている現在の金融システムには,これと全く同じ不安定性の生成と発展のメカニズムが内在している.今回のような金融危機の再来を回避するためには,システムの脆性を減らして塑性を持たせること,また,外力としての金融歪の発生を最低限に押さえるしくみの導入が必要である.これらを実現するための対策として,金利を想定しない融資,および,バスケット型の電子通貨を紹介する.


16:40-16:45 閉会の挨拶


第58回人工知能セミナー 参加申し込み

定員に達しましたので、参加申込みを締め切りました

人工知能セミナー参加費
正会員・賛助会員 学生会員 学生非会員 非会員
7,500円 2,000円 5,000円 15,000円