第44回 人工知能学会(2003.1.28)身体障害者支援への人工知能研究応用の可能性を探る -実世界(=利用者+環境)の多様性と非予測性に対する取り組み-


主催: (社)人工知能学会
日時: 2003年1月28日(火) 10:00 – 17:00
会場: 早稲田総合学術情報センター 国際会議場 3F第一会議室
照会先: account@ai-gakkai.or.jp
定員: 80名定員に達しましたので、参加申込みを締め切りました
参加費: 会員 6,000円(協賛学会員,助賛会員の社員の方も含みます.),
非会員 9,500円,学生会員 2,000円,学生非会員 3,000円

概要

近年,身体障害者や高齢者の積極的な社会参加を促進しようとする潮流が あります.その実現のための重要な課題の一つに,障害者それぞれのニーズに応じた福祉器具,家電,情報通信機器等をいかに効率的に生産・調整するかということがあげられます.
この課題に対してはいわゆるマスプロダクトの方法論,すなわち,標準的な利用 者を想定してそれに適するように製品を大量生産する方法論では本質的に対処が 困難です.このような状況において,機械学習や自律ロボットなどの様々な人工知能研究成果の適用は,課題解消に有効と考えられます.さらにこれは,健常者 にとっても個々の身体性を考慮した使い易い機器の開発に結び付きます.
そこで本セミナーでは,研究の一環として身体障害者支援に取り組まれていらっ しゃる各分野の方々を講師としてお招きし,人工知能研究が支援にどのように 貢献できるかを探ります.リハビリテーション医療での技術支援事情や新しい 提案,アフォーダンス論から見た障害者の認知と身体性の関係の解説,AI技術 による支援の試みなどについて,ご講演頂きます.セミナーの最後では,講師 の方々に,AI技術に期待すること,可能性につきましてパネル討論をしていただきます.
このセミナーが,障害者支援の技術者と人工知能の研究者の積極的な交流につながり,支援技術の一層の発展に貢献することができれば幸いです.また,支援技術にご関心のございます方々やユーザーの方々がAI技術にご興味を持って頂ければと期待しております.多数の皆様のご聴講をお待ちしています.

プログラム


10:00~11:10「計算機インターフェースのユニバーサルデザイン」

 伊藤英一(長野大学)

概要:「計算機インターフェースのユニバーサルデザイン」ユニバーサルデザイ ン(UD)とは社会全体に対して有効な方法論で,支援技術(AT)は個別ニーズ を解決するための手段です.障害者向け計算機インタフェースなどのATを 単に個別ニーズだけで設計すると,市場性や多様性などの問題から現実的 な普及は見込めません.しかし,そこにUD的な視点を取り入れることによっ て普及の可能性を高めることが可能となります.それらを具体的な事例を 元にAT開発に必要なUD的な視点の必要性を紹介します.


11:10~12:20「身体障害者のアフォーダンス」

佐々木正人(東京大学)

概要: リハビリテーション病院に定期的に伺い種々の運動障害者の行為の再発 達の過程を観察しています.靴下を履く,鯵の開きから身を取る,卵を 割るなどの具体的な目的を持つ行為はどのように獲得されていくのか, 縦断的な観察の結果をお話ししたいとおもいます.行為というのは物の 意味の下で姿をあらわす柔軟な組織であるということがわかってきまし た.行為と物ののっぴきならない関係について生態心理学の観点から考 察します.


12:20~13:30 昼食休憩


13:30~14:40「高齢者・障害者の自立的移動 Robotic Communication Terminals」

猪木 誠二(通信総合研究所)

概要: 「刻々と環境が変化する街角などで,多様な障害をもつ高齢者や障害者の 移動を支援する」ことを実現するために開発しているプロトタイプシス テムを紹介する.具体的には,人や車などの道路上の動物体を監視する システム,街中で人を乗せて移動を支援する知的スクーター,携帯して 人の移動を支援する端末,街中に固定されているバリアー/バリアーフ リー情報を埋め込んだ地図と経路案内など,またそれらの要素システム が連携して人の移動を支援する様子を紹介する.


14:40~15:50「行動型AI機器の障害者支援への応用」

五味 隆志(Applied AI Systems Inc.)

概要: AIの介護応用は社会の根幹に達する幾つかの深い対極性を表面に沸 き立たせ,生産対非生産,機能対非機能,一般論対特論,知対身体, IT対ロボット,工学対脱工学等の形で対応を要求する点で大変興味深 い.本質的にオープンであり,ダイナミズムに富み,極端に非線形な 媒体(人間社会)内で活動する知的ロボットはどのような構成と特性 を持つのか,それらが創発的に発生する機能が介護が要求する高度な 適応性にどう結び付くのか.我々の幾つかの試みを紹介したい.


16:00~16:40 パネル討論「障害者支援へのAI技術貢献の可能性」

司 会 :

辻野 克彦(三菱電機)

パネリスト:

伊藤 英一(長野大学)
佐々木 正人(東京大学)
猪木 誠二(通信総合研究所)
五味 隆志(Applied AI Systems Inc.)

第44回人工知能セミナー 参加申し込み受付終了

定員に達しましたので、参加申込みを締め切りました

人工知能セミナー参加費
正会員・賛助会員 学生会員 学生非会員 非会員
6,000円 2,000円 3,000円 9,500円