オーガナイズドセッション


  応募総数 採択件数 条件付き採択 総採択件数 実施件数
2022年度 26件 26件 0件 26件
2021年度 13件 13件 0件 13件 12件
2020年度 26件(重複申請除く) 26件 2件 26件 25件

オーガナイズドセッション一覧

  • OS-1 医療におけるAIの社会実装に向けて(小寺 聡,木村 仁星,小林 和馬,杉原 賢一)
  • OS-2 ニュースメディアのデータサイエンス(高野 雅典,小川 祐樹,鈴木 貴久,園田 亜斗夢,高 史明,保高 隆之)
  • OS-3 AutoML(自動機械学習)(大西 正輝,日野 英逸)
  • OS-4 人工知能におけるプライバシー,公平性,説明責任,透明性への学際的アプローチ(福地 一斗,荒井 ひろみ,工藤 郁子)
  • OS-5 生体信号を活用した医療・ヘルスケアAI(藤原 幸一,久保 孝富)
  • OS-6 データサイエンスの普及と自動化(砂山 渡,森 辰則,加藤 恒昭,西原 陽子,高間 康史)
  • OS-7 人間と共生する対話知能(吉川 雄一郎,東中 竜一郎,新保 史生)
  • OS-8 AI と制約プログラミング(宋 剛秀,沖本 天太)
  • OS-9 Affective Computing(熊野 史朗,鈴木 健嗣,田和辻 可昌)
  • OS-10 System1型+2型統合AIへの展望(栗原 聡,山川 宏,三宅 陽一郎)
  • OS-11 AIとデモクラシー(伊藤 孝行,大沼 進,松尾 徳朗,白松 俊)
  • OS-12 グループインタラクションとAI(酒造 正樹,湯浅 将英,岡田 将吾,酒井 元気,近藤 一晃,中野 有紀子)
  • OS-13 医療言語処理の拡張と連携(矢田 竣太郎,荒牧 英治,河添 悦昌)
  • OS-14 未踏データが生み出す新しいAI社会エコシステム(早矢仕 晃章,石川 開,大澤 幸生)
  • OS-15 移動系列のデータマイニングと機械学習(藤井 慶輔,竹内 孝,沖 拓弥,西田 遼,田部井 靖生,前川 卓也)
  • OS-16 知識・学習の転移可能性~ヒトとAI~(鳥居 拓馬,日高 昇平)
  • OS-17 創作者と人工知能が創る創作の未来(上野 未貴,森 直樹,はたなかたいち)
  • OS-18 脳波から音声言語情報を抽出・識別・利用する(新田 恒雄,桂田 浩一,入部 百合絵,田口 亮,篠原 修二)
  • OS-19 世界モデルと知能(鈴木 雅大,岩澤 有祐,河野 慎,熊谷 亘,森 友亮,松尾 豊)
  • OS-20 社会現象とAIと可視化(伊藤 貴之,脇田 建)
  • OS-21 信頼されるAIのためのインタラクションデザイン(山田 誠二,森 健策,寺田 和憲)
  • OS-22 シミュレーションとAI(鷲尾 隆,山崎 啓介,山田 聡,森永 聡,長尾 大道,吉田 亮)
  • OS-23 人間とAIの共存のあるべき姿を考える(西田 知史,宮原 克典,新川 拓哉)
  • OS-24 AI倫理・ガバナンス -イノベーションと規制の狭間で-(小野寺 佐知子,鄭 育昌,丸山 文宏)
  • OS-25 食とAI(野中 朋美,藤井 信忠)
  • OS-26 ゲームを題材とした高度コミュニケーション(棟方 渚,伊藤 毅志,大澤 博隆,片上 大輔,松原 仁)

OS-1 医療におけるAIの社会実装に向けて

オーガナイザ

  • 小寺 聡(東京大学)
  • 木村 仁星(東京大学)
  • 小林 和馬(国立がん研究センター)
  • 杉原 賢一(エムスリー株式会社)

内容・テーマの例

近年のAIの急激な進歩により、さまざまな領域でAIの社会実装が進んでいる。医療分野ではAI研究は進んでいるものの、実臨床での活用は遅れている。医療分野でAIを社会実装する際には、AIの説明可能性、学習データの不足、個人情報の保護、規制当局の承認、医療従事者のAIリテラシーなど様々な問題がある。人の命に直結する医療分野において、AIの説明可能性は切実な問題である。GradCAM、LIME、SHAPなどAIの説明可能性を高める手法はあるものの、臨床の現場で活用するのに十分なレベルには到達していない。また、医療AI開発の際には、個人情報の保護や正解ラベル付にコストがかかるなどの理由で学習データが不足する場合が多い。転移学習や自己教師あり学習などの手法で少ないデータを有効活用してAIを開発するものの、臨床現場で活用できる精度まで到達できないケースが散見される。そこで、本セッションでは医療におけるAIの社会実装に向けて、以下のテーマを募集する。

  • 説明可能なAI
  • 自己教師あり学習
  • 医療機器承認
  • 医療における個人情報管理
  • 医療AI開発における倫理的課題
  • 医療従事者に対するAI教育

キーワード

  • 説明可能なAI
  • 自己教師あり学習
  • 医療機器承認
  • 個人情報管理
  • 倫理的課題
  • AI教育

OS-2 ニュースメディアのデータサイエンス

オーガナイザ

  • 高野 雅典(株式会社サイバーエージェント)
  • 小川 祐樹(立命館大学)
  • 鈴木 貴久(津田塾大学)
  • 園田 亜斗夢(東京大学)
  • 高 史明(神奈川大学)
  • 保高 隆之(NHK放送文化研究所)

内容・テーマの例

スマートフォンの普及に伴い人々を取り巻くニュースメディアという環境は大きく変化した。膨大で玉石混交のニュースが日々作られ、ソーシャルメディアではそれらが飛び交い、推薦システムは各個人の好みに合わせたニュース記事を推薦する。このような環境は人々の関心や政治的態度に大きな影響を与えるため、オンラインニュースやソーシャルメディアでのニュースの流行は活発に研究されているトピックの1つである。例えば、ニュース接触と利用者の行動・態度の関連、ニュース推薦システムの影響と改善、ソーシャルメディアでのニュースの流布などである。「ニュースメディアのデータサイエンス」OSではニュースと利用者に関わる学際的な研究発表を広く募集する。

キーワード

  • メディア・コミュニケーション
  • フェイクニュース
  • ニュースアプリ
  • ソーシャルメディア
  • マスメディア

OS-3 AutoML(自動機械学習)

オーガナイザ

  • 大西 正輝(産総研)
  • 日野 英逸(統数研 / 理研AIP)

内容・テーマの例

深層学習の出現によって高度な認識技術が実現できるようになっている半面でハイパパラメータ調整やアーキテクチャの選択など職人的な作業が多くなっており,これらの作業を自動化するAutoML(機械学習の自動化)の研究が行われている.本オーガナイズドセッションではAutoMLに関する研究としてハイパパラメータ調整,ニューラルアーキテクチャサーチ,メタ学習,転移学習,マルチタスク学習などの研究を募集する.

キーワード

  • ハイパパラメータ調整
  • ニューラルアーキテクチャサーチ
  • メタ学習
  • 転移学習
  • マルチタスク学習

OS-4 人工知能におけるプライバシー,公平性,説明責任,透明性への学際的アプローチ

オーガナイザ

  • 福地 一斗(筑波大学)
  • 荒井 ひろみ(理研AIP)
  • 工藤 郁子(大阪大学)

内容・テーマの例

人工知能技術が広く社会に広く普及するとともに,その利用におけるプライバシーの保護や公平性,説明責任,透明性などへの配慮について社会的な関心や要請が高まっている.例えば,機械学習を利用した個人に対するAI信用スコアリングサービスにおいては,個人情報保護の遵守,データの共有範囲や用途を適切に説明する利用規約の設定,サービスのベネフィットとリスクについての十分な説明,ユーザーに対する公平性などが課題となりうる.その他にも,DeepfakeなどAIにより生成された偽情報がプライバシーや情報の信頼性を脅かす自体も想定される.また,AIのブラックボックス化による有害性への懸念やサービスについての説明責任から,AIの挙動についての説明の養成が高まっている.
現在,これらのAIにかかるプライバシー,公平性,説明性などの諸問題に対処するために,AIや機械学習のコミュニティで盛んに研究が行われている.一方で,これらの問題に対して実際にどのような基準を達成すれば問題が解決したと言えるかは必ずしも明瞭ではない.これらの要請について現行法令,倫理,世論(public acceptance)といった様々な論点が存在しており,法学,哲学,社会学などのそれぞれの立場において盛んに議論されている.実際に,既に多くの機関や企業からAI活用に伴う諸問題に対処するための倫理指針やガイドラインが複数公表されている.しかしながら,現実的にAI技術の利点を担保しつつこれらの問題を解決するためには,それぞれの立場からの研究に加え,学際的な研究が必要不可欠である.すなわち,法学,倫理学,社会学,計算機科学など様々な分野の研究者が同時に集う学際的な場を用意し,様々な立場の意見を集約し,論点を整理したのち,実際の実装方法に関する議論をする必要がある.
本オーガナイズドセッションでは,上記のような状況を受け,様々な分野における人工知能のプライバシー,公平性,説明性などの諸問題についてのサーベイ,論考,解決方法の提案などにまつわる報告を募集し,議論状況の共有,論点整理及びディスカッションを行う.特に様々な観点からの具体的なケースや技術の分析や問題提起などを歓迎する.
テーマ例:

  • 機械学習のプライバシー,公平性,説明性についての機械学習,哲学,法学等からの学際的な報告
  • AI利用におけるプライバシー,公平性,説明可能性についてのケース分析
  • AI倫理ガイドラインや言説についてのサーベイ
  • AI技術の社会受容性についての調査報告
  • SNSなどの情報サービスにおける偽情報の検出・防止

キーワード

  • AIの倫理
  • AI/機械学習の公平性,説明責任,透明性
  • プライバシー保護
  • Trustworthy AI
  • 説明可能AI

OS-5 生体信号を活用した医療・ヘルスケアAI

オーガナイザ

  • 藤原 幸一(名古屋大学)
  • 久保 孝富(奈良先端科学技術大学院大学)

内容・テーマの例

医療・ヘルスケア分野での機械学習・AI技術の活用は,他の分野と同様,深層学習の登場を契機に進展してきた.しかし,実際にはCT画像やMRI画像などに対する画像診断の事例が大半であり,それに比して心電図や脳波など生体信号への活用は取り残されてきた感がある.これには,(1) 対象信号の時空間パターンが複雑・非定常的で,対象現象の表現が特定困難であること,(2) サンプルとして取得できる生体信号の量が限定的であること,(3) 一定量の計測データが得られたとしても,しばしば対象とする現象の発生頻度が低く,強い不均衡となること,(4) 様々なアーチファクトが混入すること,(5) 明確なアーチファクトを取り除けた場合においてでもなお残存するノイズによって生体信号の信号対雑音比は高くないこと,(6) 入力となる生体信号がしばしば高次元となること,(7) 個人差が強く対象者間での汎化が難しいこと,など機械学習における様々な課題が凝縮されたようなケースとなっていることによると考えられる.このような状況に対して,近年の各種ウェアラブルセンサの開発は,サンプル取得の自動化・効率化によって改善への転換点をもたらす可能性がある.本セッションでは生体信号処理のための新たなAIの開発と,その臨床・ヘルスケア分野への応用の可能性について議論する.

キーワード

  • 医療
  • ヘルスケア
  • 生体信号
  • ウェアラブル
  • 機械学習

OS-6 データサイエンスの普及と自動化

オーガナイザ

  • 砂山 渡(滋賀県立大学)
  • 森 辰則(横浜国立大学)
  • 加藤 恒昭(東京大学)
  • 西原 陽子(立命館大学)
  • 高間 康史(東京都立大学)

内容・テーマの例

昨今のデータサイエンティスト育成が急務となっている世の中においては、AIリテラシーの基礎教育やリカレント教育の充実に加え、データサイエンスへの敷居を下げることが必要となっています.データサイエンスへの敷居を下げるためには,データ収集から知識創発に至るまでの意思決定のためのデータ分析プロセスの全体像の理解と,そのプロセスにおける人間の試行錯誤と推論を欠かすことができません.人間の意思決定に必要なのは思考の発散と収束であり、思考の発散においては可能性の網羅的な探索が、思考の収束においては列挙された可能性からの推論が必要とされています。
そこで本セッションにおきましては、データ分析プロセスの一部を自動化することで,人間の作業の手間を省き,人間の思考錯誤と推論を支援する研究発表を募集します.特に,指標を提示するデータ分析システムの提案にとどまるのではなく,「データ分析システムを用いる人間の作業」に着目し,その作業の自動化を試みる研究発表を募集します.また,人間とコンピュータの協働作業においては,コンピュータが客観的な情報を提示し,人間が主観的に判断を行うのが,これまでの一般的なスタイルとなっていましたが,人間の主観的な思考を先読みすることなどによって,コンピュータに主観的な判断の一部を担わせる手法について議論を行い,データ分析の経験が少ない人にも,手軽にデータ分析を進めてもらえる環境について検討します.また,コンピュータによる自動化の助けを受けながらデータサイエンスのスキルを身につけられる,データサイエンティスト育成のための環境についても検討します.

キーワード

  • データ分析作業の自動化
  • 試行錯誤支援
  • 知識推論支援
  • データ解釈支援
  • データサイエンティストの育成

OS-7 人間と共生する対話知能

オーガナイザ

  • 吉川 雄一郎(大阪大学大学院基礎工学研究科)
  • 東中 竜一郎(名古屋大学大学院情報学研究科)
  • 新保 史生(慶應義塾大学総合政策学部)

内容・テーマの例

スマートフォン上の音声エージェントやスマートスピーカー,コミュニケーションロボットなど,人間と対話を行うことのできるシステムが普及し始めている.しかしながら,現状の対話システムの大半はその場限りの対話を行うことを目的としており,長期にわたって人間と共生する対話システムの検討はあまり進んでいない.本オーガナイズドセッションでは,人間と共生する対話知能について考えたい.人間と共生する対話システムのデザイン,人間と関係構築をするための対話システムの実装,社会における受容性の高い対話システム構築のためのガイドラインなど,社会において,対話システムが人間と共生することをテーマとした研究発表を募集する.

キーワード

  • 対話システム
  • 対話知能
  • 人間との共生
  • パーソナライズ
  • ヒューマンコンピュータインタラクション

OS-8 AI と制約プログラミング

オーガナイザ

  • 宋 剛秀(神戸大学)
  • 沖本 天太(神戸大学)

内容・テーマの例

制約充足問題および制約最適化問題 (以下,まとめて CSP と呼ぶ) は,それぞれ与えられた制約を満たす解および最適解を探索する問題である.制約プログラミングは, CSP を取り扱うプログラミングパラダイムである.人工知能研究で生じる多くの組合せ問題は CSP として定式化できることから, 制約プログラミングは, 1980年代から現在に至るまで人工知能分野で活発に研究されてきた.

本オーガナイズドセッションでは,「AI と制約プログラミング」に関する研究発表・議論を行う場を提供することを目的し,AIにおける探索や推論, 制約に関する理論, アルゴリズム, 言語, モデル, システムなど AI と制約プログラミングに関する基礎から応用問題まで幅広く募集する.以下にテーマの例を挙げる.

  • ソルバー (CSP, SAT, MaxSAT, PB, SMT, ASP など)
  • 推論・探索アルゴリズム (CDCL, 列挙 など)
  • 知識コンパイル (BDD/ZDD/MDD などの Decision Diagram)
  • マルチエージェント (分散CSP, 提携構造形成問題 など)
  • 応用 (モデル検査, スケジューリング, プランニングなど)

制約プログラミングはCP国際会議や各種ソルバーの競技会が毎年開催されるなど国際的な関心が高い.本オーガナイズドセッションでは,国内の研究者を一堂に会して,国内コミュニティの活性化を目指す.

キーワード

  • 制約充足問題・制約最適化問題
  • SAT/MaxSAT/PB/SMT/ASP
  • BDD/ZDD/MDD
  • 列挙問題
  • マルチエージェント

OS-9 Affective Computing

オーガナイザ

  • 熊野 史朗(NTT コミュニケーション科学基礎研究所)
  • 鈴木 健嗣(筑波大学)
  • 田和辻 可昌(早稲田大学)

内容・テーマの例

Affective Computingは機械に人の情動を認知させる,機械を情動的に振舞わせる,機械に情動を持たせることを基本目標として始まった人の心に計算論的アプローチで迫ろうとする学際分野である.こと人工知能は,人の情動の自動推定に(も)使える優れたアルゴリズムを構築してきただけでなく,幸福,驚き,後悔といった人の進化的な感情を学習モデル自体に取り入れてきており,Affective Computingの中核と言っても過言ではない.Affective Computingの黎明期には,コントロールされた心理実験で得た条件下でのそれら基本カテゴリや感情価・覚醒度といった基本次元の自動認知だった.だが,近年では,機械学習技術に加えてオンライン実験,ウェアラブル生体センサ,データロギングの普及で,より実環境に近い条件下での実験や,痛み,鬱,ストレス,共感,wellbeingといったより高次の対象をも扱えるようになってきた.Affective Computingは国際的には旗艦会議の一つであるInternational Conference on Affective Computing and Intelligent Interaction (ACII)を中心としてここ数年で特に伸びてきており,かつ,次回のACIIは,本オーガナイザらの誘致活動により2022年10月に初めて日本開催となる見込みである.しかし,日本国内では関連研究が他分野に分散しておりその全体像を掴み辛いため,それがAffective Computing分野の研究発展や人工知能分野との相乗効果を阻害していると危惧される.そこで,本オーガナイズドセッションでは,2020年,2021年に続き,Affective Computing分野やその関連分野で活躍する研究者を集め,発表や議論による知識共有を通じて人工知能分野における感情計算論の位置付けや現状をより明確にするとともに,今後感情計算論が進むべき方向について考察・共有することを目的とする.

キーワード

  • 感情
  • 情動
  • 計算論
  • 主観
  • 行動
  • 生理

OS-10 System1型+2型統合AIへの展望

オーガナイザ

  • 栗原 聡(慶應義塾大学理工学部)
  • 山川 宏(特定非営利活動法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブ)
  • 三宅 陽一郎(株式会社スクウェア・エニックス)

内容・テーマの例

前世紀においては、記号をベースとした熟考型のAIが実時間性の欠如など、実世界の制御で苦戦したため、即応型のサブサンプション・アーキテクチャの登場が大きなインパクトを持ちました。現在では、即応的な技術は深層学習という形で飛躍的に進歩していますが、その適用範囲が定型的な範囲に限定されるため、熟考型の長所を兼ね備えた技術の出現が期待されています。こうした背景から、心理学で知られる暗黙的な無意識の適応プロセスであるシステム1と、明示的な意識の熟慮プロセスであるシステム2からなるデュアルプロセス理論を参考にして、より高度な人工知能を構築しようとする機運が高まっています。そこで本OSでは、深層学習が主軸をなすシステム1を念頭に置きつつ、二種類のシステムをどのようなアーキテクチャで統合・構築し、どのような環境で動作させ、どのように評価するかを議論したいと思います。そこには、システム1を拡張してシステム2を実現するアプローチと、システム1とシステム2を接続するアプローチなどが含まれます。
関連するキーワード:System2型アーキテクチャ,即応型・熟考型・適応型AIアーキテクチャ,世界モデル深層強化学習,System1とSystem2の統合,シンボリックAIとコネクショニズムAIの接続,メタ認知・メタプランニング,シンボルグラウンディング・言語創発・創造・反実仮想,自律・汎用AI・脳型アーキテクチャ,リザバーコンピューティング,オープンワールド型ゲームAI,身体構造・キャラクターアニメーションと意思決定システムの統合など

キーワード

  • 即応型・熟考型・適応型AIアーキテクチャ
  • シンボルグラウンディング・言語創発・創造・反実仮想
  • 自律・汎用AI・脳型アーキテクチャ
  • 身体構造・キャラクターアニメーションと意思決定システムの統合
  • メタ認知・メタプランニング
  • リザバーコンピューティング

OS-11 AIとデモクラシー

オーガナイザ

  • 伊藤 孝行(京都大学)
  • 大沼 進(北海道大学)
  • 松尾 徳朗(産業技術大学院大学)
  • 白松 俊(名古屋工業大学)

内容・テーマの例

現在実装されているデモクラシーを支えるシステムは、インターネットやAI技術がない時代に設計されたものである。そのため、最近の技術、例えばSNSを使った政治活動によって、必ずしも期待していたデモクラシーが実現できているとは言い難い。それに対し、近年、さまざまな技術の発展により、新しいデモクラシーの仕組みや、新しいデモクラシーのあり方が模索されている。例えば、JST CRESTの「ハイパーデモクラシー:ソーシャルマルチエージェントに基づく大規模合意形成プラットフォームの実現」では、マルチエージェント技術を用いた新しいデモクラシーのあり方を検討している。本オーガナイズセッションでは、AIとデモクラシーに関わる様々なテーマに関して議論を重ね、AIとデモクラシーに関する研究を推進し、学際的な研究コミュニティを創成する。

キーワード

  • デモクラシー
  • 合意形成
  • マルチエージェント
  • 集団知性(コレクティブインテリジェンス)
  • 社会心理学
  • シビックテック

OS-12 グループインタラクションとAI

オーガナイザ

  • 酒造 正樹(東京電機大学)
  • 湯浅 将英(湘南工科大学)
  • 岡田 将吾(北陸先端科学技術大学院大学)
  • 酒井 元気(日本大学)
  • 近藤 一晃(京都大学)
  • 中野 有紀子(成蹊大学)

内容・テーマの例

グループインタラクションの研究は,参加者のコミュニケーション能力や内面状態(性格やリーダーシップ)の推定技術の構築や個人のコミュニケーション能力の改善にも繋がることから期待が高まっている.さらに近年発展してきている機械学習の技術と,音声・画像・言語などのメディア処理,ユビキタスコンピューティング,ウェアラブルコンピューティングを統合することで,グループインタラクションの理解とモデル化,その支援技術に関する研究基盤が整ってきた.しかしながら,これらにより発表される研究成果は各研究グループごとに実験デザインが統一されていないことが問題になっている.本OSでは,グループインタラクションの理解および支援技術に関する研究発表を広く募集し,研究発表の場を提供するとともに,複数の研究グループで統一できる実験デザインや評価方針を議論する.

キーワード

  • グループコミュニケーションの質のモデル化
  • ウェアラブルデバイス
  • 社会的信号処理
  • グループディスカッションにおけるフィードバック
  • インタラクションへの介入
  • ワークショップデザイン
  • CSCW

OS-13 医療言語処理の拡張と連携

オーガナイザ

  • 矢田 竣太郎(奈良先端科学技術大学院大学)
  • 荒牧 英治(奈良先端科学技術大学院大学)
  • 河添 悦昌(東京大学)

内容・テーマの例

医療へのAI技術の活用は,画像処理をはじめ,言語処理や音声認識と多岐にわたる.言語処理の領域においては,Transformerベースの深層学習モデルの成功により,これまで実用精度に届かなかった応用の実現性が高まったことで,医療分野の研究者が数多く参入し始めている。一方で,臨床テキスト等の医療データは,その機密性から一般公開が難しく,機械学習モデルのための大規模な学習データが共有されにくいため,他のドメインのAI応用に比べると進度に遅れが見られる.このような状況を打破するために,これまで各種の大規模医療AI 言語処理研究プロジェクトが発案・実施されてきた.内閣府AIホスピタル,文部科学省AIP-PRISM,評価型ワークショップReal-MedNLPなどは国内の主なプロジェクトの例であり,AIP日独仏AI研究 (KEEPHA) は国際連携型プロジェクトの一例である.多くのプロジェクトは,目指すヴィジョンに共通点がありながらも相互の連携に乏しく,医療AI 言語処理研究が全体像としてどこへ向かいつつあるのか俯瞰できる機会は多くない.本セッションでは,国内で進行中の医療AI 言語処理研究プロジェクトの成果報告を中心に,「現在進行形」の医療AI 言語処理研究開発を展望し,今後の発展可能性を議論したい.医療AI 言語処理全般に関連した共同研究や助成研究の成果を,規模を問わず広く募集する.

キーワード

  • 医療情報学
  • 医療言語処理
  • 読影画像認識 医用画像認識
  • 患者発話認識
  • 臨床情報匿名化

OS-14 未踏データが生み出す新しいAI社会エコシステム

オーガナイザ

  • 早矢仕 晃章(東京大学)
  • 石川 開(日本電気株式会社データサイエンス研究所)
  • 大澤 幸生(東京大学)

内容・テーマの例

Society 5.0では様々な事物が繋がることで知識やデータが共有され,社会課題の解決とイノベーションが実現するとしている.しかし,私たちは未だサイバー/フィジカル及び人々のメンタルに踏み込む領域のほんの一部しか理解しておらず,そのわずかな部分をデータ化し利用しているに過ぎない.さらに,時々刻々と新しいAI技術やデータが参入する社会において,トップダウンにシステムを設計し制御することはほとんど不可能であり,人・AI・データの相互作用によってAI社会が創発されていく過程をエコシステム(生態系)として捉えて議論していく必要がある.
昨年度はAI社会における倫理的課題にフォーカスし,社会受容性とそれを理解するための方法について活発なディスカッションを行った.今年度は,人々のダイナミックに変化する認識や知識と直接結びついていない領域の潜在的なデータ(未踏データ)に焦点を当てた発表を広く募集する.この未踏データを理解し,知識と結びつけることは,新たなAI・データの出現に対する社会受容性や倫理的課題,人とAIの繋がりと調和,未観測事象のデータ化及び意思決定支援,機械学習等の既存フレームから飛躍した新しいAIの設計とエコシステム理解のためのモデルや方法論の確立に資すると考えている.本OSでは以上のテーマに関する研究・調査に関する手法や考え方,事例を会員及び全国大会参加者らに提供し,議論することを狙いとする.

キーワード

  • 未踏データ
  • 社会受容性
  • AI倫理
  • AI社会システム

OS-15 移動系列のデータマイニングと機械学習

オーガナイザ

  • 藤井 慶輔(名古屋大学大学院情報学研究科)
  • 竹内 孝(京都大学大学院情報学研究科)
  • 沖 拓弥(東京工業大学環境・社会理工学院)
  • 西田 遼(東北大学大学院情報科学研究科)
  • 田部井 靖生(理化学研究所革新知能統合研究センター)
  • 前川 卓也(大阪大学大学院情報科学研究科)

内容・テーマの例

計測技術の発展によって、様々な生物や人工物の移動の記録が可能になりました。これを背景に、多岐にわたる社会や科学分野への貢献、例えば、小型GPSを装着した野生の動物の行動データから動物の生態の理解、車両の移動データから様々なリソース配分の効率化、カメラから得られたスポーツ選手の行動データからスキルの評価などが期待されています。このように移動系列を解析する手法の重要性が高まっていますが、対象を越えて移動系列が持つ普遍的性質を扱う方法や、その性質を用いて高度な予測を行う人工知能技術は存在せず、従来の研究は対象毎に個別の領域で研究が行われるに留まっています。そこで、本OSでは、解析手法の1つであるデータマイニングや機械学習技術を軸足とし、対象間に共通する問題やその上で更に個別の議論を行うことで、各領域や共通の問題の解決を行っていきます。
本OSは、工学、コンピュータ科学、生物学、神経科学、スポーツ科学などを専門にする研究者が、記録されたヒト、動物、自動車などの軌跡・活動・行動データの解析方法について機械学習など人工知能分野の技術を用いた議論する場となることを期待しています。さらに単に手法や個別の領域の議論だけでなく、より大きな視点から、データ取得・公開や、政策などの意思決定、応用領域での活用、さらには領域をまたいだ議論の土台としたいと考えています。
本OSのオーガナイザには、科研費学術変革領域A「サイバー・フィジカル空間を融合した階層的生物ナビゲーション(階層的生物ナビ学)」への参画者も含まれており、ヒトや車両などの公開データだけでなく、様々な生物行動の貴重な計測データの研究も募集しています。関心のあるテーマとして、生物・人工物の軌跡・活動・行動データに関する以下の例がありますが、これらを超えた領域からの参加を期待しています。複数の領域で議論することにより、それぞれの領域の強みを知り、また関連問題への関心の提起や、自身の領域の未解決問題の発見などの、様々な発展を期待しています。

キーワード

  • 時空間データ
  • データマイニング
  • 機械学習
  • 生物モデル
  • 軌跡・活動・行動データの情報処理

OS-16 知識・学習の転移可能性~ヒトとAI~

オーガナイザ

  • 鳥居 拓馬(北陸先端科学技術大学院大学)
  • 日高 昇平(北陸先端科学技術大学院大学)

内容・テーマの例

人間は未知な問題に対しても既存の問題の知識を転用して対処できる場合が少なからずある.こうした現象は,認知科学・心理学では「知識の転移」と呼ばれる.人間は日々直面する多様な問題に対して白紙から学習するとは考えにくい.既存の問題の知識を転移することは,欠点もあるが,学習の促進・効率化や,経験の不足を補うなどの正の効果を期待できる.近年では人工知能の分野でも「転移学習」「領域適応」「メタ学習」などのキーワードの下で,異なる問題領域のデータや学習内容を,標的の問題を解くために活用する技法が多様に研究されている.深層学習では学習データの不足が学習不能に直結しうる.そこで「転移学習」の研究動機のひとつは学習データの不足,いわば “刺激の貧困”の克服にある.こうした人工知能の研究の問題や実践は,知識の転移に関する認知科学の観点からも興味深い.本オーガナイズドセッション(OS)では,広義の「知識の転移」に関する人工知能・認知科学の独自研究や分野解説を募集する.現時点では知識の転移に関しては機械よりも人間のほうが優るだろう.しかし,その認知メカニズムはまだまだ解明されていない.本OSを人工知能研究者と認知科学研究者の交流の場としたい.

キーワード

  • 知識の転移
  • 転移学習
  • メタ学習
  • Few-shot学習
  • 類推

OS-17 創作者と人工知能が創る創作の未来

オーガナイザ

  • 上野 未貴(大阪工業大学工学部)
  • 森 直樹(大阪府立大学工学研究科)
  • はたなかたいち(株式会社クリエイターズインパック)

内容・テーマの例

計算機は創作者が作品に込めた情緒を理解することができるのか?
近年,人工知能を用いて解析および生成の両面から,人の創作物を対象とした研究が進んでいる.
人がコミュニケーション手段として用いる言語や画像を中心としたストーリーを持つ創作物として,小説,漫画・アニメ,写真,絵本,音楽,ゲームなどが研究対象として想定されてきた.
一方で,創作物をデータとして客観視して手法適用するだけではなく,創作過程で込められた想いを主体的に扱って表現を汲み取り,創作者と研究者をつなぐための研究にも注目が集まっている.
人工知能分野では完成して公開された創作物を扱う事例が多いが,研究初期段階から創作者と連携し,人が試行錯誤する創作過程に発現する高度で繊細な情報を扱うことも重要である.
創作物の構成要素はマルチモーダル情報であることが多く,単一のコンテンツのみを対象として研究を進めるだけではなく,分野融合的かつ横断的な研究連携が望まれる.
本オーガナイズドセッションでは,創作者と研究者が人工知能を介して共存し豊かな創作の未来を築くことを目的として,研究的視点を持つ創作者,創作的視点を持つ研究者,本分野に興味を持つ者から,広く,創作物と工学の関係性に基づくタスク設計,データ構築,数値計算手法,望まれる応用開発に関する研究を募る.

キーワード

  • 創作者と人工知能
  • マルチモーダル情報
  • 機械学習
  • 創作支援
  • 創作システム

OS-18 脳波から音声言語情報を抽出・識別・利用する

オーガナイザ

  • 新田 恒雄(豊橋技科大エレクトロニクス先端融合研究所)
  • 桂田 浩一(東京理科大情報科学専攻)
  • 入部 百合絵(愛知県立大情報科学研究科)
  • 田口 亮(名古屋工大情報工学専攻)
  • 篠原 修二(東京大学バイオエンジニアリング専攻)

内容・テーマの例

音声言語に関するBCI研究は,脳皮質上のセンサーから脳波(Electro-Cortico-Gram; ECoG)を検出する研究が欧米を中心に先行しているが,頭皮上で観測した脳波(Electro-Encephalo-
Gram; EEG)信号を用いる研究が実現すると,近年一万人(世界では15万人)と言われるALS患者の方達のコミュニケーション手段,現行のAI-speaker の次世代IFを初め応用が広いため,
現在,世界中の研究者が意欲的に研究開発を進めている.代表的なテーマには以下がある.

  • 脳波のための分析モデル
  • 脳波中の高次認知機能の分析
  • 高次認知活動に関する脳波信号と雑音除去
  • 脳波における音素・音節の表現形態(言語表象)
  • 脳波信号からの音声言語特徴抽出
  • 発話時脳波信号からの音声デコーディング
  • 音声想起時脳波信号からの想起内容識別
  • 脳波に対する音素・音節ラベリングとツール

キーワード

  • 脳波からの雑音除去
  • 音声想起
  • 脳波分析・特徴抽出
  • 脳波中の音節・単語・文識別
  • 脳波中の音素・音節ラベリング

OS-19 世界モデルと知能

オーガナイザ

  • 鈴木 雅大(東京大学)
  • 岩澤 有祐(東京大学)
  • 河野 慎(東京大学)
  • 熊谷 亘(東京大学)
  • 森 友亮(株式会社スクウェア・エニックス・AI&アーツ・アルケミー)
  • 松尾 豊(東京大学)

内容・テーマの例

世界モデルとは,エージェントを取り巻く環境・身体など様々な要素を学習によって内部的に構築する枠組みである.こうした世界モデルを用いることで,直接には観測できない,過去/未来・反実・観測不能な状態を予測や推論できるようになり,目的に応じた行動選択の性能を高めることができる.

世界モデルのように環境のモデル化を考えることは,制御における内部モデルや認知科学におけるメンタルモデルなどでも議論されており,必ずしも新しいアイディアではない.しかし,深層学習の発展により,これまでは困難であったような高次元かつ複雑な世界からの観測データに基づくモデル化が実現できるようになったことは大きなブレイクスルーであり,ロボティクスや強化学習研究において活用が進んでいる.

本企画セッションは,(1)深層学習を用いて外界をモデル化する方法論(2)AIの諸問題における世界モデルの重要性,についての議論を行う.世界モデルという概念を介して,人工知能だけでなくロボティクス,認知科学,神経科学などの分野の研究者と共同して学際的な議論を行う場となることを目指す.

キーワード

  • モデルベース強化学習
  • 深層学習
  • 表現獲得
  • 深層生成モデル
  • 予測モデル
  • 自己教師あり学習
  • 生物における外界のモデル化
  • 知能の汎用性

OS-20 社会現象とAIと可視化

オーガナイザ

  • 伊藤 貴之(お茶の水女子大学)
  • 脇田 建(東京工業大学)

内容・テーマの例

情報可視化は日常業務や社会現象に関するデータをビジュアルに表現する技術の総称である。近年の情報可視化の研究はAIと連携したものが急激に増えている。例えば可視化を駆使した対話操作型のデータ分析の過程で機械学習や進化計算を反復的に呼び出すVisual Analyticsというシステムもあれば、説明性の高いAIを実現するために可視化を適用する研究も増えている。

一方で近年では新型コロナウィルス感染状況や選挙速報をはじめとして、可視化技術を駆使して社会現象をビジュアルに報道する機会が増えており、これらの報道が人間行動に影響を及ぼす現象も見受けられている。このような状況を鑑みて提案者らは、日本学術会議にて「社会に資する可視化の小委員会」を結成し、社会現象の可視化を政策提言につなげるための議論を進めるとともに、小委員会内部での共同研究を促進している。

以上の背景を鑑みて、本セッションでは例として以下のようなテーマでの発表を募集する。

  • ソーシャルメディアに見られる人々の発言や流行、人流解析結果として得られる人々の移動などに関する傾向の可視化。
  • 災害・感染症・経済危機などの非常時に見られる人々の情報理解、またその誤りから生じるインフォデミックの流れの可視化。
  • 企業間の取引や物流をはじめとするビジネス情報に見られる社会現象の可視化。
  • AIの実用に関する諸問題を解決するための可視化。例として、機械学習の説明責任や訓練データ品質保証のための可視化、AI運用上の公平性やプライバシー保護を担保するための可視化など。
  • これらに限らず、社会現象に関する可視化全般、AIと連携した可視化全般、汎用的な可視化技術全般。

キーワード

  • 可視化
  • 社会現象
  • Visual Analytics
  • XAI (eXplainable AI)

OS-21 信頼されるAIのためのインタラクションデザイン

オーガナイザ

  • 山田 誠二(国立情報学研究所)
  • 森 健策(名古屋大学)
  • 寺田 和憲(岐阜大学)

内容・テーマの例

AI技術の進歩は,人間の意思決定を拡張する.その一方で,AIの情報処理過程が複雑になりブラックボックス化されることで,AIの情報提示に対し,人間が真贋や妥当性を判断することが難しくなる.この問題を解決するために,AIの性能向上だけでなく,AIその能力なりに人の信頼を得ること,人が納得してAIの情報提示を受け入れられることが重要である.本オーガナイズドセッションでは信頼されるAIの実現につながる研究発表を広く募集する.テーマの例は以下の通りだが,それらに限定されるものではない.

キーワード

  • 信頼較正の理論と応用
  • 信頼モデル(認知信頼モデル,AI信頼モデル)
  • 信頼インタラクション
  • 手術とAI
  • 医療におけるあいまい性とAI

OS-22 シミュレーションとAI

オーガナイザ

  • 鷲尾 隆(大阪大学)
  • 山崎 啓介(産業技術総合研究所)
  • 山田 聡(BIRD INITIATIVE株式会社)
  • 森永 聡(日本電気株式会社)
  • 長尾 大道(東京大学)
  • 吉田 亮(統計数理研究所)

内容・テーマの例

従来、演繹的計算によるシミュレーションと帰納的計算によるAI・機械学習は対極的な研究の方向性を有した。シミュレーションは有限要素法、分子動力学シミュレーション、マルチエージェントシミュレーションなど多くの種類が存在し、構造物設計、新素材開発、交通・人流制御など応用事例も多岐にわたる。一方、機械学習分野では深層学習やガウス過程などによるサロゲートモデル技術の発展にともない、実世界におけるシステムをブラックボックスとして高精度に近似することが可能になった。近年、それぞれの分野において互いの方法やモデルを援用することで新しい研究の広がりを見せている。

シミュレーション分野では、シミュレータの一部を機械学習のモデルで代替するサロゲートモデルの利用や、近似ベイズ計算(ABC)やカルマンフィルタなどを利用して実測データからシミュレーションパラメータを統計的に最適化するデータ同化を導入することで、計算の高速化や高精度化が行われている。機械学習分野では、モデルの一部に第一原理計算やシミュレータを埋め込むことで、新たな学習問題の発見や近似解法の開発がなされている。しかしながらシミュレーション適用ドメインに依存した課題が設定される傾向にあり、その成果が個々の分野での発展に限定される恐れがある。

本セクションでは、シミュレーションに機械学習を用いる研究や、機械学習にシミュレーションを取り込む研究を募集し、シミュレーションと機械学習の本質的な融合の可能性を探る。

キーワード

  • シミュレーション
  • モデル学習
  • データ同化
  • 生産計画・材料最適化
  • 災害・地震・気象

OS-23 人間とAIの共存のあるべき姿を考える

オーガナイザ

  • 西田 知史(情報通信研究機構)
  • 宮原 克典(北海道大学)
  • 新川 拓哉(神戸大学)

内容・テーマの例

昨今のAIは、著しい高度化を遂げたことで人間社会に変革をもたらす基盤技術になりつつあり、今後さらなる社会普及が望まれる。しかし、その先にどのような世界が描かれているのか、人間はどのようなかたちでAIと共存すべきなのか、そうした理想的な共存関係を実現するためにはどのようなAIの認知的デザインが必要なのかは、現在のところ明確化していない。したがって、そのような問いに対する明確な答えを得るために、人間の心の観点から人間とAIの関係性について、さらなる学術的探究が求められる。
そのような探究においては、これまでヒューマンエージェントインタラクションを代表とする工学分野で多大な貢献がなされてきた。しかし、昨今のAIの高度化は、人間とAIの関係性をより複雑にし、多様な問題を新たに生み出しており、人間と共存するAIの実現には、より多角的な心の探究が必要となってきている。実際、心理学や神経科学といった自然科学的な心の探究や、哲学・倫理学・社会学といった人文学的な心の探究においても、人間とAIの関係性を研究する新たな試みが始まっている。
そこで本OSは、多岐にわたる心の学問分野において、人間の心の観点からAIを扱った研究発表を広く募集し、学際的な情報交換と議論を通じて、人間とAIの共存のあるべき姿に対する理解を深めることを目的とする。募集する研究テーマ例としては、人間の心の仕組みに基づいた、人間を深く理解するAIや、人間と協調・共感するAIなどの研究が挙げられる。また、人間とAIの良好な関係構築を見据えて、人間の認知および社会活動を支える心の仕組みを理解するための基礎的研究も募集の対象とする。

キーワード

  • 人間とAIの共存
  • 心の仕組み
  • AIの認知的デザイン
  • 心理学/神経科学
  • 哲学/倫理学/社会学

OS-24 AI倫理・ガバナンス -イノベーションと規制の狭間で-

オーガナイザ

  • 小野寺 佐知子(富士通株式会社)
  • 鄭 育昌(富士通株式会社)
  • 丸山 文宏(産総研)

内容・テーマの例

金融取引、医療や雇用など社会のあらゆる場面においてAI実装が急速に進んでいます。それとともに、AIが引き起こす倫理的な問題が明るみになり、顔認識AIが人種差別的な結果を出した、採用AIが性差別をするために運用停止となったというニュースが大きく報道されるようになっています。
欧州をはじめとした各国や組織、国内では総務省や経産省から、AI活用のための倫理原則やガイドライン、AI規制案などが制定され、対処する動きが始まっています。
このような情勢をうけて、AIシステムのステークホルダが、AI倫理・ガバナンスに関して考慮すべきことや課題を共有し、どのように対処すべきかを明らかにする必要があります。
本オーガナイズドセッションでは、テーマ例として,技術、法制化・標準化、技術哲学など様々な観点での問題提起、関連する技術開発や実践報告などを広く募集し、課題や議論の方向性に対する共通認識を得ることをめざします。

キーワード

  • AI倫理
  • AIガバナンス
  • 公平性/アカウンタビリティ/透明性
  • 人間中心のAI
  • 信頼できるAI

OS-25 食とAI

オーガナイザ

  • 野中 朋美(立命館大学食マネジメント学部)
  • 藤井 信忠(神戸大学大学院システム情報学研究科)

内容・テーマの例

食・食システム分野へのAI活用が広がっている.食とひとえにいってもその適用範囲は幅広く,食品製造・流通・販売・サービス提供を通じた一連のバリューチェーンにおける生産性・付加価値向上や,人の嗜好や感性データを用いた食品・料理レシピ・献立開発,調理・提供現場におけるロボット導入,対話型接客,需要予測,さらには農林水産分野への応用など,人工知能技術を用いた研究やビジネス活用が進んでいる.また,食を起点として,健康寿命延伸や人との関わりを活かした新たなコミュニティづくりや医療データ連携など,ヘルスケアや地域活性の側面も注目され,食を通じた社会課題解決に期待が近年ますます期待が高まっている.食べることは人間の根源的な行為であり,食は工学・サイエンスのみならず医学や文化,歴史など複数の学問領域に密接に関わるため,多方面からの学際的アプローチで研究することが望まれる.そこで,本OSでは,食・食システム分野における基礎から応用にわたる幅広い人工知能研究を扱う.萌芽的な研究や,食に関する実証研究・社会システム研究なども歓迎し,食分野に関心を持つ幅広い研究者や実務家が集う議論・交流の場を提供する.なお本セッションは,2018年度と2020年度に実施した「食とAI」オーガナイズドセッションに継続して実施するものである.

キーワード

  • 機械学習/データマイニング
  • 最適化
  • ビックデータ
  • サービス工学/経営工学
  • 社会科学/認知科学

OS-26 ゲームを題材とした高度コミュニケーション

オーガナイザ

  • 棟方 渚(京都産業大学)
  • 伊藤 毅志(電気通信大学)
  • 大澤 博隆(筑波大学)
  • 片上 大輔(東京工芸大学)
  • 松原 仁(東京大学)

内容・テーマの例

最も難しいゲームの一つとされた囲碁の分野でDNNを用いたAlphaGoが人間のトップを超えたことによって、様々なゲームにおいて強いプレイヤAIが生まれるようになってきている。DNNは、これまで困難とされてきた人間の直観に近い能力を獲得するという点で大きな成功を収めているが、人間同士の情動を含む多チャンネルのコミュニケーションゲームに関しては、まだ困難な課題がある。例えば、人狼を題材とした研究では、問題を簡単化したプロトコル部門ではある程度賢いAIが作られるようになってきているが、自然言語部門や身体を持った人間のコミュニケーションを考慮した人工知能という分野では、まだ困難な問題が残されている。仕草や表情などの非言語コミュニケーションや焦りや集中力などの感情や情動、相手の意図を理解する相手モデルなどの多チャンネルで高次の認知過程の問題を解決することができなければ、人間同士で行っているような高度コミュニケーションを含むゲームプレイヤを実現することはできない。このOSでは、特にゲームにおけるコミュニケーションに焦点を当てて、現在の人工知能では解決が困難な以下のようなテーマを扱っていく。
<テーマ例>

  • ゲームと自然言語
  • ゲームと非言語的コミュニケーション
  • 相手モデルとコミュニケーション
  • ゲームと情動
  • 多人数ゲームにおけるコミュニケーション
  • ゲームとヒューマンバイアス
  • 円滑なコミュニケーションのための技術
  • ゲームとHCI

キーワード

  • ゲーム
  • 高度コミュニケーション
  • プレイヤAI