オーガナイズドセッション一覧
1. 「知識指向のテキストマイニングに使える自然言語処理技術」

【提案者】
中川 裕志 (東京大, nakagawa@dl.itc.u-tokyo.ac.jp)

【概要】
テキストマイニングは企業活動に有益な情報を大量のテキストから抽出する技術
として実用に至っている。例えばコールセンターへの苦情から顧客の要望を抽出
できることなどが宣伝されている。一方で、各社からリリースされているテキスト
マイニングツールは自然言語処理技術としては形態素解析が中心であり、それより
上位の知識処理については詳しく記載されていないことが多い。
 このセッションの目的は、テキストから知識をマイニングするという目的の
ために自然言語処理研究の側から供給できる最新の技術を発表する場を提供する
ことである。テキストマイニングが実用的に大きな発展を遂げるために、この
オーガナイズドセッションは貢献するところが大きいと考え、提案するものである。
 なお、このような研究活動の第1人者である東京大学辻井潤一教授の招待講演を
予定している。

2. 「ことば--コンピュータ--コミュニケーション」

【提案者】
阿部 明典 (ATR, ave@ultimaVI.arc.net.my, ave@atr.jp)

【概要】
本セッションでは、昨年に引続き、コンピュータの上でことばを扱う問題に
関して議論する予定である。コンピュータなどの機械メディアの上でことばを
扱う研究を各々の観点から分野を横断して議論をしたいと考えている。

【テーマ例】
コンピュータ、認知科学、社会学、心理学、脳科学、哲学、人工知能などの
面から見た
ことばの問題
ことばの特性
ことばの生成、デザイン
文学の問題
文学の特性
文学の生成、デザイン
コミュニケーションの問題
コミュニケーションの特性
コミュニケーションの生成、デザイン
その他、
広告コミュニケーションなどのアプリケーションがらみの話
など

3. 「体験メディア」

【提案者】
河村 竜幸 (奈良先端大, kawamura@is.naist.jp)、
角 康之 (京都大, sumi@i.kyoto-u.ac.jp)

【概要】
本セッションでは、昨年(『体験記録とその応用』)に引き続き、“体験”の
利用可能性について議論してゆきたいと考えています。工学分野に限定されない
方々の参加・発表によって、幅広い観点からの議論と異分野間交流を目的とした
セッションです。

【キーワード】
・ 主観的な体験の記録方法
・ 記録されたマルチセンサからの時系列データによる映像の要約
・ 膨大な体験記録の整理インタフェース
・ 人形を用いた体験の記録
・ 記憶/体験の存在を感じさせる空間デザイン
・ 記憶の拡張技術
・ ウェアラブル知的インタフェース
・ 「思い出」工学
・ インタラクション構造による体験編集・共有
・ 認知症者への支援
・ 社会学・心理学的側面からの実験・考察

4. 「異文化コラボレーションとAI」

【提案者】
片桐 恭弘 (はこだて未来大, katagiri@fun.ac.jp)

【概要】
ネットワークを介した人々の協調の機会が増大するにつれて、文化の異なる
人々が共同で問題解決にあたる異文化コラボレーションの重要性が高まっている。
ソフトウェアのオフショア開発や国際共同プロジェクトのように言葉の違いが
問題となる場合、産学連携や異業種連携のように知識体系や価値体系の違いが
問題となる場合等、異文化コラボレーションには多様な要因が関与している。

人工知能にとっては、AI技法を活用した異文化コラボレーション支援という
新しい課題領域を提供すると同時に、異文化コラボレーション自体が自律的
エージェントの協調に関する新しいAIの問題を提供しているととらえることも
できる。

本セッションでは、異文化・異言語・異分野・異業種の壁を越えた人間同士の
コラボレーションに関する経験を持ちより、問題の整理・分析および解決の
試みの共有を通じて、人工知能を通じた新しい異文化コラボレーションの方法
論を共同して探究する場としたい。

【トピック】
代表的なトピックとしては以下のようなものを想定する。

・異文化コラボレーションによるソフトウェア・コンテンツの開発
・異業種異分野連携など実世界での異文化コラボレーション経験の報告・分析
・異文化コラボレーションのためのコミュニケーション支援
・異文化コラボレーションのための機械翻訳・自然言語処理技術
・異文化コラボレーション支援システムの利用・評価
・異文化コラボレーションの人工知能モデル
・異文化コラボレーションに関する社会学的・社会情報学的分析

5. 「HAI(ヒューマンエージェントインタラクション)」

【提案者】
山田 誠二 (NII, seiji@nii.ac.jp)

【概要】
近年、ソフトウエアエージェントやペットロボットのように一般のエンド
ユーザとインタラクションをもつエージェントが急速に普及しつつあり、
人間とエージェントのインタラクション設計の重要性が高まってきています。
本オーガナイズドセッションでは、このようなインタラクションを広くHAI
(ヒューマンエージェントインタラクション)として捉え、擬人化エージェ
ントと人間、ロボットと人間、さらにエージェントを介した人間と人間の
インタラクション、コミュニケーションに関して、横断的で新しい視点を
与える研究に焦点をあて、集中的な発表と建設的議論を目指します。

6. 「コンピュータ将棋を題材として人間とコンピュータの関わりを考える」

【提案者】
松原 仁 (はこだて未来大, matsubar@fun.ac.jp)

【概要】
コンピュータ将棋は最近非常に強くなり、アマの最高位であるアマ5段の
実力に達している。アマ全国大会でベスト16にはいるなど、すでに勝てる
人間は数百人となっている。世界チャンピオン(名人/竜王)に勝つのも
もはや時間の問題である。将棋のプロ棋士の組織がプロ棋士とソフトの無断
対局を禁じたことは大きなニュースとして伝えられている。コンピュータが
弱いうちは人間は平気であるが、強くなる(自分に近づいてくる)と拒否反応を
示しがちである。AIではロボットを含め同様の問題はさまざまなアプリケー
ションで起きることが予想される。このセッションではコンピュータ将棋を
題材にして人間とコンピュータの今後の関わりについて考えることを目的と
している。

(本セッションでは一般公募は行なわない)

7. 「知的情報支援を行う社会情報インフラの構築」

【提案者】
神成 淳司 (IAMAS, kaminari@computer.org)

【概要】
次世代の社会情報インフラは、AI技術を活用することで人間の活動を支援する
機能が求められます。例えば、防災情報のリアルタイムでの共有を行うための
情報基盤や自治体の情報システム等では情報支援の必要性が高まっています。
本セッションでは社会情報インフラにAIを導入する際の、技術的課題、社会的
課題、政策課題などについて議論します。

【キーワード】
・社会情報システム
・知的情報支援
・ユビキタスサービス
・防災情報システム
・位置情報サービス
・インタラクション・モデル
・行政情報システム

8. 「研究者のキャリアデザイン」

【提案者】
山川 宏、加藤 義清 (研究人生を楽しむ会, jsai2006@academiclife.jp)

【概要】
 大学院重点化や、ポスドク1万人計画により研究者を目指す人の数は増えて
いる一方で、研究の道に入り込んだ後に、どのように進むべきなのか、進めば
よいのかという明確なキャリアモデルは存在しません。少子化により大学の経
営環境は厳しくなる一方で、欧米に比べて民間企業に就職する博士号取得者が
まだまだ少ない中、学位取得後は任期付き職に就くのが一般的となっており、
若手研究者は常に自分の「身の振り方」を考えていかなければなりません。そ
のような状況の中で、若手研究者が自らのキャリアをどうするべきか、キャリ
アデザイン能力が今まで以上に必要とされています。

 人工知能学会20周年記念事業である「AI若手研究者のためのキャリアデザイ
ン能力育成事業:幸福な研究人生に至る道」も、同じような問題意識に基づい
て実施しております。

 本セッションでは、1年間に亘り実施した記念事業の内容を会員の皆様に報
告する総括の場とするとともに、関連する発表を一般から広く募集いたします。
若手研究者がキャリアデザイン能力を身に付けるにはどうしたらよいのか、ま
たそのために学会がどのような役割を果たすことができるのか、人工知能技術
によってキャリアデザインを支援できるのか、等について議論を深める場にし
たいと考えております。

【トピック】
キャリアデザインと…
 ・デザインプロセス
 ・意思決定支援
 ・教育・学習科学
 ・動機付け
 ・ゲーム
 ・ソーシャルネットワーク
 ・戦略知識
 ・プランニング
 ・研究評価
 ・人材管理
 ・就職活動
 ・Know-Whoネットワーク
 ・CSCW
 ・カリキュラム
 ・e-Learning
 ・知識共有
 ・知識マネジメント
 ・知識伝達
 ・知識獲得
 ・エージェント
 ・Web/データマイニング
 ・コンサルテーションシステム
 ・人工社会
 ・社会ナビゲーション

(※ここに挙げた以外のトピックについても歓迎いたします)

9. 「イベント空間情報支援プロジェクト」

【提案者】
西村 拓一 (産総研, taku@ni.aist.go.jp)

【概要】
 本プロジェクトは、イベントが開催される実空間において参加者・主催者
双方の満足度向上を目指し、オープンな共通プラットフォームを構築し、
産学官共同で各種情報支援モジュールの研究・実証試験を行い、有用な
情報支援システムを社会に提供することを目指すものです。
 このために本大会にて、参加者全員が利用可能な最新システムを協働
して運用します。Web支援システムを事前に運用し、会場中に設置した
無線LAN、センサなどの環境システムにより位置履歴やインタラクション
履歴を収集、自然な操作でより高度な情報サービスを試みます。
 本オーガナイズドセッションでは、本システムの運用に関わる論文に加え、
イベント空間での情報支援一般の論文を募集いたします。

10. 「リスク情報有効活用のためのデータマイニング」

【提案者】
吉田 健一 (筑波大, yoshida@gssm.otsuka.tsukuba.ac.jp)

【概要】
 現代社会の構造が成熟していくにつれ、社会に対する要請は多様化し、より
細やかなサービスが要求されるようになっている。これに対して我々は組織を
複雑・精密化して、高度な機能を実現してきた。複雑・精密化した組織は、固
定された業務・サービスに対しては効率的に対処できるが、予想されない事態
に対して脆弱になりうる。このため、医療分野での患者取り違え事故をはじめ
として、さまざまな分野で、いままで予想しえなかった重大な事件・事故が繰
り返しおこり、それへの対応策、リスクの管理の重要性が叫ばれるようになっ
てきている。

 本オーガナイズドセッションは上記社会背景を踏まえ、業務・サービスのプ
ロセスがデータベースとして日々電子的に大量に蓄積されている現状に鑑み、
その電子的データの再利用からリスクを検知し、検知されたリスクを解明し、
さらに解明されたリスク情報を有効活用することを目的とし、リスク情報有効
活用のプロセスの実現について議論の場を設ける事を意図する。

 具体的には (1) リスクを最小限に抑えるためのリスク情報有効活用の代表
例として、大規模病院における医療事故防止、および、(2) リスクを逆にチャ
ンスとして位置づけ、リスク情報を成長因子に変換するリスク情報有効活用の
代表例として、流通業務におけるビジネスリスクの活用を挙げ、この二つの問
題領域におけるリスク情報有効活用の問題に取り組んでいる研究者からの発表
を集めセッションを構成する。

11. 「意味と理解のコンピューティング」

【提案者】
小林 一郎 (お茶大, koba@is.ocha.ac.jp)

【概要】
近未来チャレンジセッション「日常言語コンピューティング」の後を継ぎ、
言語を情報処理の媒体とすることや、コンピューティングの個人化、
システムの擬人化などの建設的な議論、また、自然言語処理の基盤技術である
意味表現の手法や状況依存性などを議論する。

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